【Vol314】欧米よりも日本企業の「ビジョン」が弱い理由

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今号のメルマガは、「ビジョン」「ミッション」「バリュー」に
ついてです。書籍『SONYとマッキンゼーとDeNAとシリコンバレーで
学んだグローバルリーダーの流儀』(ディスカヴァー)から紹介します。

みなさんが勤務する企業の「ビジョン」「ミッション」「バリュー」は
それぞれ何でしょうか。もしかすると、「ビション」「ミッション」
「バリュー」の違いが分からない…という方もいらっしゃるかも
しれません。実はメルマガ筆者も同書を読むまで、3者の明確な違いを
認識していませんでした。簡単な英単語ですし、「何が違うのですか?」
と聞くことも憚られたまま今日まで至っていました。また、そもそも
「なぜそんなものが企業に必要なのか」という別の疑問についても
今号のメルマガの後半で、同書から解説します。


◆「ビジョン」「ミッション」「バリュー」はそれぞれどのような
位置関係にあるのか?

同書によると3者のステートメント(声明)の対象を以下の2軸で整理
すると分かりやすいのだと記述しています。
横軸:内的(企業自身について)か、外的(社会との関わりについて)か
縦軸:願望なのか、義務なのか

「ビジョン」「ミッション」「バリュー」の位置づけを2軸で整理して
2次元マトリックス図にすると以下のようになります。

       内的           外的
願望    ビジョン         ミッション
    (将来、ありたい姿)     (果たしたい使命)
義務    バリュー          事業
  (現在、実践すべき行動規範) (現在、実行すべきタスク)


◆そもそもなぜ「ビジョン」が必要なのか?

実際には「ビジョン」と「ミッション」を混ぜて表現している企業は
たくさんあると同書は言います。本メルマガでは、この二つをひと
まとめにして、「ビジョン」という言葉で表し、そもそもなぜ
「ビジョン」が必要なのかについて同書から紹介します。

欧米は狩猟型社会、日本は農耕型社会とよく言われます。両社会の
気質の違いがビジョンに関係するという説を同書では展開しています。
両社会の気質の違いを順番に見てみましょう。

(1)狩猟型社会と「ビジョン」
狩猟型社会では、人々は獲物を獲るためにチームを作り、個々の
役割を決め、獲物の群れを追いかけます。チームリーダーは季節や
植生の状況などから獲物の群れの位置を推測し、チームが目指すべき
「到達地点」と、そこで得られるであろう「獲物」の「種類」を
決定します。この「到達地点」(内的)と「獲物」(外的)こそが
「ビジョン」であり「ミッション」なわけです。

情報がどれだけそろっていても、リーダーがどれだけ優秀でも、
未来を正確に予測することは不可能です。リーダーは得ることが
できる、限られたの情報から、強い意思を持って、どこへ行くかを
「決定」しなければなりません。まさに「ビション」を作る作業です。
狩猟型社会では、将来を見通し、行く先を決定できる人間がチーム
リーダーになります。

狩猟型社会では、チームリーダーが定めたビジョンが誤っていた場合、
目的地にたどり着いても獲物がいないという事態が発生します。
それは部族の飢え死にを意味します。また、メンバーがビジョンに
従わないと、チームの人的資源を無駄遣いすることになり、食料不足を
引き起こしかねません。組織が生き延びるために、メンバーが喜んで
従う「良いビジョン」は不可欠です。

したがって、狩猟型社会においては、ビジョンが明文化されていない
ということは、地図もコンパスも持たずに草原をあてもなくさまよう
のと同じです。狩猟型社会のメンバーに対して「ビジョンなんていい
から目の前の業務をこなせ」と言うのは、「いつか何かを見つけるかも
しれないから、とにかく歩け」というのと同じことです。

ある程度の実績がある企業の場合は、過去の歴史や既存の事業が指針
となる場合もあるかもしれませんが、ベンチャーやIT、バイオのように
変化の激しい産業で、リーダーが「ビジョンなんてない」などと言って
いたら、「この会社は危ない」と思われても仕方ありません。

(2)農耕型社会の「ビション」「ミッション」
一方、農耕型社会では、土地の規模や作物の種類から出来高は
あらかじめ想定できます。例えば「加賀百万石」という具合ですね。
天候が安定している限り、手順通り田を耕し、水を引き、田植えをし、
水や肥料を正しく与えれば、だいたい予想通りの米100万石の収量が
加賀藩では穫れていたわけです。「ビジョン」「ミッション」も
あまり重要ではありません。

つまり、農耕型社会のチームリーダーに求められるのは、人員を
的確に管理して作業を効率良く進め、問題があれば対処する、と
いった管理能力なわけです。

農耕型社会のメンバーに「ビジョンは?」と聞いても「毎日きちんと
働くこと」とか「この畑で最大の収穫をあげること」といった答えが
返ってくるのは当然と言えます。

米国の企業と比べて、日本企業は一般に、「ビジョン」を掲げることに
あまり熱心ではないと同書では指摘しています。「ビジョン」という
項目をホームページに掲げている会社でも、その中身は「世のため
人のため…」「イノベーションを追い求める…」といった経営理念と
混同していたり、特徴のない文章が並んでいると言います。間違っては
いなくても、どこの会社にでも当てはまる表現なので、会社の個性や
目指す方向性の具体的なイメージは湧きません。ビジョンとは、会社が
「こうありたい」と思っている姿です。その会社独自のビジネスや
スタイルを盛り込むべきだというのが同書の主張です。

いかがでしたでしょうか。
同書の著者がソニーの人間に聞いた話として、ソニーは元々ハード
ウエアの会社なので、ウォークマンでもハンディカムでも、実際の
機械を見てそのビジョンやスピリッツを伝えることができたと言います。
しかし、ビジネスがハードウエアからソフトウエアやサービスの
比重が重くなると、具体的なハードウエアを見せてビジョンを示す
ことが難しくなり、経営トップからのメッセージが伝わりにくくなる
のだといいます。みなさんの企業ではビジョンが組織の末端まで
浸透していますか?


◆ソース◆
===================================
『SONYとマッキンゼーとDeNAとシリコンバレーで学んだ
グローバルリーダーの流儀』(ディスカヴァー)
https://www.amazon.co.jp/dp/4799314165/
pp.181-188
===================================

【Vol313】外国人に“交渉を仕掛けられたら”どうするか?

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今号のメルマガは、ビジネス交渉で使われるテクニックについてです。
書籍『世界基準のビジネス英会話』(三修社)から紹介します。同書に
よると、欧米では、ビジネス交渉の基本的な戦略や戦術をビジネス
スクールなどできちんと学習しているのだと言います。ビジネス交渉
にはテクニックが存在し、海外では多くのビジネスパーソンがその
テクニックを使っているにもかかわらず、日本人には馴染みが薄いと
思われます。今回は、自らが交渉テクニックを使うときに知っている
必要があるだけでなく、交渉にあたっての相手の攻め方を読むため
にも知っておきたい代表的なテクニックを二つ紹介します。
さっそく、それぞれを

【1】交渉術の概要
【2】仕掛けられたらどうするか?(対応策)
【3】日本人がこのテクニックを使うときのコツ
――の順番で紹介していきましょう。

・Good Guy/Bad guy Approach(いい人/悪い人役の交渉術)
【1】交渉術の概要
ひとりでなく、二人(もしくは複数)で交渉に当たるときに使う
テクニックです。「いい人役」と「悪い人役」に役割を分担します。
交渉相手に意図的に揺さぶりをかけ、交渉などを有利に進めようと
するテクニックです。「悪い人役」が威圧的に畳み掛けて萎縮する
相手に対して、一方的に攻めるのではなく、「いい人役」が相手に
救いの手を差し伸べているように見えます。ところが、これらは
演技で、すべてが計算されています。最終的に二人(もしくは複数)で
硬軟取り混ぜて相手を取り込むのが目的です。

例えば、刑事もののドラマで、取調室の中、机をどんどん叩いたり、
蹴飛ばしたりして黙秘する容疑者を厳しく問い詰める「悪い人役」
の刑事と、「まぁまぁ」と「いい人役」の同僚の刑事がなだめて、
カツ丼を容疑者にすすめて、容疑者がホロリときて心を開いて自供を
始めるシーンがありますが、そのようなイメージですね。

【2】仕掛けられたらどうするか?(対応策)
欧米では古典的な交渉術ですが、日本人にはあまり馴染みがありません。
基本的に、打ち合わせや交渉が始まると、序盤で「悪い人役」が
いきなり威圧的な態度で畳み掛けてきます。そうしたら「仕掛け
られている」ことにすぐに気づけるようにしましょう。一番大事な
ポイントは、そこで相手に揺さぶられることなく、毅然とした態度を
保ち、冷静さを失わず、こちらの要望を譲らないことです。

【3】日本人がこのテクニックを使うときのコツ
2人以上で仕掛ける交渉術なので、事前に入念な打ち合わせをする
のが必要です。こういった「用意周到すぎる戦略」は、日本的な
ビジネス文化という印象が強いかもしれませんが、欧米でも使われ
ます。日本人にとっては、最初は「いい人役」のほうがトライ
しやすいでしょう。

・Highball/Lowball Approach(高めのボール/低めのボールの交渉術)
【1】交渉術の概要
文字通り、「高めのボール」に対して相手が「低めのボール」を
投げてくるという、古典的な交渉術の一つで、特に値段交渉の場で
頻繁に使われます。売り手は、少しでも高く売りたいので高い価格を
提示します。一方で、買い手は少しでも安く買いたいので低い値段を
提示します。この相互のやり取りを「ボール」に例えているわけです。

現在の米政権がこの交渉術を多用しています。例えば米朝交渉です。
従来、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」という原則を
強調していた米国は、核交渉を総括するポンペオ新国務長官が
「永久的かつ検証可能で不可逆的な大量破壊兵器の廃棄(PVID)」に
北朝鮮との交渉目標を上方修正しています。「永久的な大量破壊
兵器の廃棄」とは、核施設と核弾頭だけでなく中長距離ミサイルや
化学兵器など大量破壊兵器(WMD)の全面廃棄を意味します。

【2】仕掛けられたらどうするか?(対応策)
値段交渉のほかにも、昇進や入社の給与額を決める場合などでも
見られる交渉テクニックです。通常、相手が売り手であればHighball、
買い手であればLowballを投げてきます。そのように、高め、低めの
値段設定で仕掛けられた場合には、当然のことながら、高めには
極端な低め、低めには極端な高めを提示するのが通例です。そして、
常に、落としどころ=walk-away price(立ち去る限度価格)を設定し、
いざとなれば不利な契約をまとめるぐらいだったら決裂したほうがいい、
というスタンスで、「腹を決めて」臨むという姿勢が大切です。

【3】日本人がこのテクニックを使うときのコツ
日本人は、ときに「最初は相手の要望を飲んで、赤字覚悟で値段を
設定」という判断をすることもありますが、交渉ごとにおいては
最初から手の内を見せ過ぎるというのも問題があります。欧米を
はじめとして海外ではさらに極端に低い価格を提示してきて徹底的に
値段交渉をします。「日本的な感覚で交渉に臨むと悲惨な結果を
招きうる」と肝に銘じて、こちらが提示する値段を投げかけましょう。

いかがでしたでしょうか。
上記の代表的なテクニックのほかにも、BATNA、Snow Job、Chicken、
Bogey、Nibbleという名称のテクニックが存在します。同書では
具体的な交渉場面を例に、どのような英語を使ったら良いのかを
具体的な英会話とともにまとめています。みなさんは、外国人の
巧みな交渉テクニックの術中にはまってしまった苦い経験はあり
ませんでしょうか?

◆ソース◆
================================
『世界基準のビジネス英会話』(三修社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4384058918/ 
pp.8-9
================================

【Vol312】東大法卒、元外交官の“英語的”生活習慣

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今号のメルマガは、英語と生活習慣についてです。書籍『世界で
通用する「地頭力」のつくり方自分をグローバル化する5+1の習慣』
(CCCメディアハウス)から紹介します。著者(49歳)は東大法卒の
元外交官で、外務省を退職した後、現在の本業は対話を通じて
リーダーの知識や見識を深め、高めるファシリテーターです。

著者が以前、ニューヨークであるセミナーに参加したとき、著者が
「日本人の場合は英語の苦手な人が多く、その点を米国人に配慮して
もらいたい」と話したら、隣の席のフィリピン人から「私は米国で
成果をあげるためにフィリピンからやってきた。『英語が苦手』と
思われると仕事が来ない。そのような甘い考えはもっていない」と
猛反発を受けたというエピソードが記載されています。世界では
英語ができないと、相手にされません。日本人だけ特別扱いされる
ことは有り得ません。外交官としての経験以来、日本人の英語に
関する課題を以下の4つ著者は挙げます。


◆日本人の英語に関する課題

(課題その1)
「英語は通じれば良い」と言っている人に問いたい。「情熱が感じ
られず、失礼な表現の日本語を話す外国人を信頼できますか?

「英語は通じれば良い」という人もいます。しかし、この「通じれば
良い」という意味が、「若干間違った表現であっても、一応伝われば
良い」という意味であれば問題です。そもそも、コミュニケーションは
ニュアンスや情熱、そして誠意を含めた総合的なものです。仮に
内容が伝わっても、熱意や誠意が感じられないのであれば、相手を
動かすことはできません。

(課題その2)
リーダー層の英語力の低さのため、世界の優秀な人材がそっぽを向く

社会の指導層、リーダー層で英語ができない国は、日本を除くと多く
ありません。リーダー層の多くが英語ができないのにもかかわらず、
さほど深刻ととらえられていないのは異様なことで、そもそも首相や
外相、経団連会長の英語力についてマスメディアで議論にならないのは
不思議なことです。

(課題その3)
日本人は「話す」「聞く」だけでなく、「読む」「書く」も問題

「日本人は読み書きはできても、聞いたり話したりは苦手」と良く
聞きますが、これは誤解を招く意見です。確かにスピーキング(話す)と
リスニング(聞く)は苦手に感じている人も多いと思いますが、実際は
リーディング(読む)やライティング(書く)も大いに問題があります。

(課題その4)
発音が悪いので伝わらない

「日本人の英語はミーティングでは何を言っているのかわからない
ので不快である」とアジアのある国のビジネスパーソンに言われた
ことがあるのだと著者は言います。「インド人の英語はわかりにくい」
「シンガポールの英語はなまっている」という反論があるかと思い
ますが、インド人やシンガポール人の英語よりも、日本人の英語の
ほうがそもそも珍しいだけに、よほど聞きづらい可能性があります。


◆英語にこだわる著者の1日の過ごし方

では、その上記の課題を打破するためにはどうすればいいのか?
著者は日々血の滲むような努力をしていると言います。いったい彼は
どのような1日を過ごしているのでしょうか。同書から典型的な
1日の流れを紹介します。

まず、朝5時に目覚まし時計で起床。冬だとまだ真っ暗ですが、
即ジョギングを開始します。

ジョギングから帰宅すると、録音しているNHKラジオ講座『実践
ビジネス英語』を聴きます。わからない単語や表現はマーカーで
線を引いて、自分自身で作成している英単語帳に追加記入します。
この英単語は日々確認するようにしています。出張などで自宅に
いない場合は『CNN ENGLISH EXPRESS』のCDを聴きます。いずれの
場合も音読の時間もとります。

その後、自宅にいる場合はCNNかBBCを聴きながら、まずは必ず
ニューヨーク・タイムズ紙を読みます。同紙は世界のクオリティ・
ペーパーと言われ、トップ・エグゼクティブが最も読んでいる新聞の
一つです。筆者が外務省で勤務していた当時、外務省内で最も
読まれていたのが、同紙でした。外務省を退職した後も、その後の
習慣は続き、ずっと自宅で購読しています。

仕事から帰宅した後、軽い作業や読書をしながら、CNNやBBCを視聴
します。夜は英語のニュース番組を視聴するだけでは疲れることも
あるので、海外ドラマやNHKの科学番組をあらかじめ予約録画して
おいてそれを視聴します。グローバルな視野を広げるための活動には、
片時も休みはないのだと言います。さらに英語力を高めるべく、
血の滲むような努力を続けているところだと言います。

いかがでしたでしょうか。
メルマガ著者は同書の著者と面識があるのですが、目に見えない
裏側でこのような本人も認める「血の滲むような」努力をしている
人であることは全くわかりませんでした。メルマガ筆者の生活習慣
との落差の大きさに愕然とします。みなさんはどのような生活習慣で
英語を勉強していますか?


◆ソース◆
================================
『世界で通用する「地頭力」のつくり方/
自分をグローバル化する5+1の習慣』(CCCメディアハウス)
https://www.amazon.co.jp/dp/4484182076/ 
pp.205-217、233-239
================================

【Vol311】○○することで“意図まで伝わる”英語術とは?

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今号のメルマガは、英語変換術についてです。著書『論理的に話す
・書くための英語変換術』(三修社)から紹介します。これまで培って
きた英語力を土台にして、「変換」という新しい切り口で英語に
触れることで、単に「意味が伝わる」という情報伝達のレベルを越え、
きちんと「意図まで伝わる」英語で「書く力」と「話す力」に一層
磨きをかけるにはどのような方法論があるのかという話です。

◆言い換え(≒パラフレーズ)の目的

英語を使ったコミュニケーションで重要なポイントのひとつに
「パラフレーズ」というものがあります。「パラフレーズ」とは
「言い換えること、フレーズを変えること、他の言葉で表現する
こと、他の言葉に言い換えること、自分の言葉で表現すること――
を意味します。英語学習者にとって、パラフレーズする力が必要な
理由には以下の3つがあります。

(1)コミュニケーションの一助として
一つ目はコミュニケーションの一助となることです。ある説明を
したい時、こちらの意図が通じなければ、別の言葉で説明を加え
なければなりません。また、相手の発言を確認する際、そのままを
オウム返しに言っては、その話に興味がないのだと受け止められて
しまいかねません。上のような事情から、円滑なコミュニケーション
のために、自分や相手の発言を別の言い回しで表現する必要があります。
日本語では相手の反応を見ながら、自然に言い換えたりします。
英語でも同じことができるようになるには、それ用のトレーニングが
必要です。

(2)論理展開
英語で論理展開をうまくできる人は、頭の中で瞬時に「変換」を
行って発言しているのだと言います。分かりやすく効率的に自分の
意図を伝えることができますし、知性を示すことができます。

(3)資格試験対策
TOEIC、TOEFL、英検などの資格試験は、パラフレーズの要素に
あふれています。リスニングやリーディングでは、問題文に登場した
表現そのものは選択肢の中には出てきません。ほとんどの場合、
選択肢には別の表現で言い換えられたものが並んでいます。


◆英語変換の4パターン

具体的に、以下の簡単な例文を原文としたときの、「変換術」で使う
4パターンの言い換えのやり方を見てみましょう。

【原文】
Everyone is different.
(みんな違う)

みなさんでしたら、どのような変換文を思いつきますか?変換文を
一つと言わず、思いつく限り、挙げてみましょう。

《英語変換の4パターン》
(1)単語の変換
単語レベルでの変換は、ほぼ同義語として使える語のほか、解釈に
よって同じような意味になる語、その文においてのみ同じ役割を担う
語などを用い、原文から変換した文を作ります。同義語を見つける
には、英英辞典を活用することもおすすめです。
【変換文】
Every person is unique.

(1-1)Everyone → Every person
Everyoneが全体のグループとしてのみんなを示すのに対し、every 
personと言うと、個々人に注目した語になります。

(1-2)different → unique
Different(違う、異なる)が時にネガティブにとられえられるのに
対し、unique(独特な)は他と異なる点をポジティブにとらえた表現
になります。

(2)具体化変換・抽象化変換
原文にある表現を具体的に表現したり、反対に、より一般的な場面
にもあてはまる抽象的な言葉にしたりしながら変換するパターンです。
具体化する目的は、受け手とイメージの共有ができるようにすること、
また、そのトピックにあまり詳しくない人でも分かるようにする狙い
があります。反対に、抽象化は起こった事象に対して話し手の解釈を
加えることができます。

【変換文】
Everyone has his or her own ideas that may sometimes conflict
with others' ideas.
(みんな自分の考えを持っており、それは時に他人の考えと衝突するものだ)

(2-1)is different → has his or her own ideas
is different とはどういうことなのかを、具体的にhas his or her 
own ideas(自身の考えを持っている)と変換しています。own ideasの
あとに続くthat may sometimes conflict with others' ideasはown 
ideaの具体化変換にもなっています。

論理を展開するときには、抽象化と具体化を繰り返しながら、自分の
意図する方向へと読み手の意識を持っていく技術が必須だと同書では
述べています。

(3)主語の変換

【変換文】
No one is the same.
(誰ひとり同じではない)
原文ではeveryone「みんな」を主語にしていましたが、変換文では
no oneを主語にしており、強調の意味を込めています。主語に併せて
differentも反対の情報を示す語sameに変換すると、文としては同じ
意味になります。

(4)構文・イディオム変換
原文のエッセンスを伝えるため、異なる構文、イディオム、慣用句
などを用いて変換する方法です。
【変換文】
Every person marches to the beat of a different drum.
(すべての人は我が道を行く)

marches to the beat of a different drum.(異なるドラムの音で
行進する)が慣用句で、「人とは異なる考え方をする」という意味に
なっています。

いかがでしたでしょうか。
同書によると、大統領でも、俳優でも、科学者でも、スピーチや
文章を書く時には、この4つの変換を巧みに使いながら、メッセージを
投げかけているはずだと言います。どこでどのような変換を行っている
のかに気づき、真似ていくことで「変換力」が磨けるのだと同書では
述べています。

表現力を高めるためには、そのぶん単語力が必要ですし、それと同時に、
聞いている相手にイメージを頭に思い浮かべてもらえるような言い方を
してあげるセンスも必要になりそうですね。みなさんは、英語での変換
を意識していましたか?


◆ソース◆
=================================
『論理的に話す・書くための英語変換術』(三修社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4384058748/
pp.2-3、8-12
=================================

【Vol310】「次の英文を和訳せよ」で、躓く人の特徴

メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、

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今号のメルマガは、パラグラフ・リーディングについてです。
ひとつのパラグラフの内部は、ある特徴的な構造をしているのだ
という話です。どのような構造をしているのか、みなさんは
ご存知でしたでしょうか。著書『日本の英語、英文学』(研究社)から
紹介します。著者は、御茶ノ水女子大名誉教授で英文学者として
著名な外山滋比古氏です。

◆パラグラフ内部の構造は同心円状で、AとBとCの3段階をしている

学校の英文法では、語、語句、節、文を習いました。その上位概念
であるパラグラフについてみなさんは習いましたでしょうか。
おそらく、あまり習ったことがない方が多いのではないかと思います。
同書によると、パラグラフについてはっきりと意識していないのは
日本人だけでなく、意識していない英国人や米国人もかなり多い
はずだと述べています。

活字になった英文においては、パラグラフは大切な単位です。
10行から長くても15行ぐらいでひとつのパラグラフを構成し、
改行します。

ひとつの標準的なパラグラフは、以下の3つの部分A→B→Cで構成します。
A:抽象的、一般論的:2~3行
B:上記の具体例:長い
C:AとBを踏まえた結び=短い

AとBとCは同心円のようなもので、同じことを違う表現で述べて
いるのが一般的です。Aは抽象的、一般論的な書き方がしてあります。
日本人には特にAが手強いのだと同書は言います。Bは、Aを具体的に
示す部分です。Aの部分は動詞の現在形であることが多いのですが、
Bの部分は、過去形の動詞が使われることが多く、具体的で物語調に
なります。Aが抽象的で何を言いたいのか分かりにくくても、Bを
読めば具体的で分かりやすいのだそうです。しかも、AとBが同心円の
ように同じことを言っているのだということを知っていれば、Bを
理解することによってAを理解することができます。Cの部分は、
短く、抽象的にAとBをまとめています。

抽象的な表現に弱くてAを理解する段階でつまずきがちで、先を読む
ことを諦めてしまったりしていませんでしょうか。この構造を知って
いれば、「最初の2、3行が難しくて理解できなくて、あとは到底理解
できない」と勝手に決め付けてしまうのは日本人の思い違いという
ことになります。とにかく全体を読んでみて、AとBとCを区別して
認識することが大事だということです。一番具体的で分かりやすい
Bを読むことで、Aが理解出来ることが多いのです。

◆洋書や翻訳書の読み方は“前方重心”で

パラグラフの内部構造は前方重心なのですが、表現における前方重心の
傾向はパラグラフの次元にとどまりません。1冊の書籍でも似たような
構造をしています。日本人は知らずに損をしていると同書では述べて
います。日本人は後方重心思考が強いので、書籍でも終わりの部分に
一番大事なことが出てくると考えて、結末を重視します。それに対して、
書き出しを“はしがき”などと称して軽視する傾向があると言います。
読む側もさらっと読み流すことが多いのではないでしょうか。洋書や
翻訳書も同じように、はじめを軽く読み飛ばし、結末に全力を傾ける
というような読書をしていては“誤読”になりかねないと同書では
注意を促しています。

欧米の書籍は冒頭の部分がきわめて大切です。イントロダクション、
緒言、序論はしばしば結論の予告編であったり、結論の変形であったり
することも少なくありません。読み飛ばしてはいけません。書籍の
主張したいことは冒頭部分に展開されるところが、日本の書籍との
大きな違いだと言います。

したがって、難解な書籍を読むときも、一度読んだだけでは理解
しづらい場合、冒頭部分やイントロダクションだけを読み直すのが
有効です。時間的にも有効だし、理解が深まることにもつながります。

いかがでしたでしょうか。
大学受験の英語の問題などで、「次の英文を和訳せよ」とひとつの
パラグラフを丸々訳す問題があったのを記憶している読者の方も
多いのではないでしょうか。採点経験が豊富にある外山氏は、採点に
疲れてくると白紙答案に正直なところほっとしたと同書の中で述懐
しています。白紙答案だと手間をかけずに0点に採点できるからですね。
一方で、上記のパラグラフの先頭2、3行のAのところで悪戦苦闘した
末に断念した痕跡が見られる答案を不憫に感じたと言います。
本メルマガで解説したような読み方をすれば、白紙答案を出さず
済んだ可能性が高いというわけです。メルマガ著者もパラグラフ内部の
構造に特徴があることを同書を読むまで知らなかったので、「受験生
時代に知っていれば」と悔やまれます。みなさんはいかがでしたで
しょうか?

◆ソース◆
=================================
『日本の英語、英文学』(研究社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4327490237/
pp.15-21、38-46
=================================
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