【Vol309】NHKアナウンサーが教える英文朗読

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今号のメルマガは、朗読についてです。著書『英語は朗読でうまく
なる!』(アルク)から紹介します。著者は元・NHKアナウンサーです。
朗読によって「英語で伝える力」「表現力」が身につき、英語が
聞き手に魅力的に届くようになると同書では述べています。

「音読が大事」というのはよく聞きます。朗読と音読はどう違うの
でしょうか。音読は分からない単語の意味や発音を調べ、声に出して
確認していく作業です。それに対して、朗読はページに横たわった
文字を起き上がらせて、自分の声で聞き手の心まで届ける作業です。

朗読を練習するときには、英文に読み方の注意点などを書き込んで
練習します。自分にとって分かりやすいマークを決めておくと良い
でしょう。同書では、以下のような(1)~(9)の項目に対して、
下線などの記号をつけています。メルマガでは、マークを付ける
ことができないので、以下テキストで説明します。


◆英文に読み方の注意点を書き込むための朗読記号

(1)「間」
「間」は文章の意味で区切るための役割があります。聞き手の注意を
引きつけたいときに「間」を使うのが効果的です。間は1種類では
ありません。3種類ぐらいがあり、「短い間」「長い間」「たっぷり
長い間」――というような感じです。

(2)『』キーワード
小説なら主人公の名前など、話のポイントとなる、大事にするべき
言葉です。(ただし、必ずしも、強調して読むとは限りません)

(3)【】強調
声を変える、前後に「間」を取る、大きな声を出す、逆に、小さい声
でささやく、などいろいろな方法で聞き手に印象づける箇所です。

(4)( )軽めにさらっと読む
仮にその部分がなくても、大意に影響がない語句や文です。それなら、
なぜ軽めに読む箇所を存在させる理由があるのかというと、他をより
目立たせるという効果があるからです。

(5)《1》、《2》列挙されている項目を読む
複数の事項が列挙されている箇所を意識しながら読みましょう。
それぞれを同じ強さで読むことが大切です。番号を振っておくと
分かりやすくなります。

(6)息継ぎ
息継ぎとは基本的に「間」を取る時に同時に行います。息が続かない
場合は、この箇所で息継ぎしても良いでしょう。


(7)《 》ゆっくりハッキリ読む
文の終わりに余韻を持たせたいとき、また、内容をしっかり言い含め
たいときなどに、ゆっくりはっきり読んでみましょう。

(8)〔 〕一語のように読む
意味のまとまりがあり、単語ごとに区切るのではなく、一語のように
読んだほうが伝わりやすい箇所です。

(9)↑↓声のトーンを上げる、下げる
「明」と「暗」の対比を感じさせる語句がある場合には、トーンを
上げたり下げたりして、そのイメージを表現します。


◆オバマ前・米大統領の広島演説を朗読してみる

2016年5月、現職の米大統領として初めて広島の被爆地を訪れた
オバマ氏は、第二次世界大戦の犠牲者に哀悼の意を表す演説をしました。
オバマ氏が大統領として広島で伝えたかったメッセージとは何で
しょうか。スピーチ原稿を朗読するときは、まず、「何を伝えたい
のか」が明確でなければなりません。

文末の◆ソース◆に、演説の動画(YouTube)のURLをリンクしています。
オバマ氏の演説をコピーすることが朗読練習のゴールではありません。
あくまでも、自分がスピーチをする際に、説得力のある声で自分らしい
表現ができるようになるようにするのが朗読の練習です。「自分なら
この演説をどう世界に伝えるか」を考えながら朗読を練習します。
紙幅の都合上、冒頭の部分だけ紹介します。

スピーチ原文
〔《Seventy-one years ago》〕,短い間on 《a bright,〔cloudless 
morning〕》,短い間【『death』】 fell from the sky短い間and the 
world was changed.長い間〔A flash of light〕and a 〔wall of fire〕
短い間destroyed a city短い間and demonstrated短い間that mankind
possessed the means to destroy itself.たっぷり長い間

日本語訳
71年前、雲ひとつない明るい朝、空から死が舞い降り、世界は一変
しました。閃光と炎の壁が町を破壊し、人類が自らを破滅させる手段を
手にしたことを示しました。

朗読のポイント
スピーチの冒頭部分です。聴衆をいかに惹きつけるか。この最初の
発声が非常に大切です。真摯な気持ちで丁寧にゆっくりと、落ち着いた
声でagoまで一息で読み、1945年8月6日の原爆投下時に気持ちを
移行させていきます。

いかがでしたでしょうか。
オバマ氏の上記のスピーチは、メルマガの著者は見聞きした記憶が
ありますが、英語の意味を理解するのにやっとでした。今回改めて、
同書を片手にYouTubeの動画を見てみると、特に「間」が強調されて
いることが印象的なスピーチであることに気がつきました(同書では
冒頭部分だけでなく、全文を掲載して朗読する際のポイントを記号で
解説しています)。「間」によって聞き手の注意を引いたり、「次に
何が来るの?」と期待させる効果、考える時間を与える効果があるの
ですね。みなさんは、自分のスピーチをどのように魅力的に伝えますか?


◆ソース◆
=================================
『『英語は朗読でうまくなる!』(アルク)
https://www.amazon.co.jp/dp/4757430280
pp.19、21、36

オバマ前・米大統領の広島演説
https://www.youtube.com/watch?v=R29ujZv7VBM
=================================

【Vol308】外国人を動かす“3種の神器”とは?

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┃2018/04/05 号
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今号のメルマガは、論理的思考に欠かせない3つの要素「NFL」について
です。外国人とのビジネスコミュニケーションには「ロジック」が
欠かせない要素であることをPEGL[ペグル]の講座を通しても強調して
いますが、自分の考えを“自分なりの論理展開”で他の人にも理解
できるようにするにはどうしたら良いでしょうか。書籍『日本人が
「世界で戦う」ために必要な話し方』(日本実業出版社)では、自分の
意見を価値観の異なる他の人に理解できるように落とし込む手法を
紹介しています。

同書の著者は3つの要素、すなわち数字(Number)、ファクト(fact)、
ロジック(logic)が論理的会話には欠かせないと言います。これらの
3つの頭文字をとって、同書の著者は「NFL」と呼んでいます。

◆人を動かす3種の神器「数字」「ファクト」「ロジック」
(1)数字(Number)
「かなり大きい」というような定性的な表現に対して、「15億」と
いうように具体的な数字のことです。過去の売上の数字のような
客観的なデータもありますし、売上予測のような主観的な数字も
あります。過去のデータでも、加工の仕方によっては主観が入る
こともあります。
(2)ファクト(fact)
「ファクト」は事実認識のことです。「事実との認識が一般的に
共有されていること」(例:日本は島国である)もありますし、
話し手が「事実だと思うこと」(例:北方領土は日本の領土である)も
含まれます。
(3)ロジック(logic)
「ロジック」は話し手が使う具体的な論理のことです。

単純に言うと、論理的な会話の基本形は「私はAだと思います。
理由は三つありB、C、Dです」(I think A because B, C, D)です。
このB、C、Dの部分に「数字」「FACT」「ロジック」を入れると、
論理展開の説得力が格段に増します。

グローバル企業で活躍している人間は、数字、ファクト、ロジックを
存分に駆使して自説を展開するのだと同書では述べています。
例えば、以下のような文です。

【例文】
《結論》
「私は、クライアントのA社はX社の買収を検討する価値があると
思います。
《理由》
理由は3つあります。
《理由1:数字》
理由の一つ目は、X社の強い東南アジアでは、今後5年間で平均8%の
高い市場成長率が見込まれているからです。
《理由2:ファクト》
理由の二つ目は、X社の商品は、所得水準が1万ドル以上を超えた国で
売り上げた伸びた実績があります。東南アジアでは、所得水準が
1万ドルを超えてきています。X社の商品は東南アジア市場で有望です。
《理由3:ロジック》
理由の三つ目は、買収による両社の相乗効果です。SWOT分析を行った
結果、X社の強みは製造です。弱みは販売力です。X社の弱みである
販売力はA社では逆に強みであり、A社がX社の弱みをカバーして打ち
消すことができます。」

◆結論を一番先に述べる「結論ファースト」が基本
【例文】では結論を一番先に述べています。「結論ファースト」は
わかり易い説明の基本です。さまざまな価値観や多様性が交じり合う
環境で仕事をする上で、シンプルに結論からものを言う訓練ができて
いることはグローバル人材として最も重要なスキルの一つです。
【例文】のように結論を先に言ってから、そのあとで結論の根拠と
なる理由を述べることで効率良い会話を可能にします。【例文】で
言うならば「A社はX社の買収を検討する価値がある」が言いたいこと
なのだということが、話を聞いてすぐにわかるからです。

「結論ファースト」の話し方には「説明がわかり易い」というメリット
があるだけはありません。テンポ良く議論が弾みやすくなるという
メリットも生まれてきます。会議の場で発言者が結論から話し出せば、
参加者の面々は自分の考えとの違いがすぐに分かり、即座に反応し
やすくなります。「いや、私はこう思う。理由は…」「その提案には
賛成できない。理由は…」といった切り返しも活発に起こり、議論が
スムーズに弾みます。

外国人には日本人の話は長くてわかりづらいと言われることがあります。
その大きな理由の一つは「結論ファースト」でないからです。日本人は、
(言語的にも文化的にも)背景説明から入るのが好きな傾向があります。
時系列でまるで物語のような展開で説明する人も多いのではないで
しょうか。特に、文章ではなく「話し言葉」になった時ほど、“無意識に”
結論を最後に置いて話してしまう傾向があるのかもしれません。

いかがでしたでしょうか。
例えば、結論の理由として3つをあげるとして、切り口は一通りではなく、
いろいろ考えることができます。【例文】でいうならば、3C(自社、
競合、市場)や4P(商品、価格、プロモーション、流通)なんていうのも
切り口として考えることができそうです。3つの理由ともファクト、
すなわち《理由1:ファクト》《理由2:ファクト》《理由3:ファクト》
という方法もあるかと思います。しかしながら「NFL」を知っていると、
「数字」「ファクト」「ロジック」と理由の切り口の選択肢が【例文】
のように、幅広くなりますね。「NFL」をフレームワークの一つとして
知っておくとビジネスで役に立つ場面がありそうです。全米フット
ボールリーグ(National Football League)の「NFL」と同じなので、
覚えやすいですね。


◆ソース◆
=================================
『日本人が「世界で戦う」ために必要な話し方』(日本実業出版社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4534051026/
pp.80-89
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【Vol307】ヤクルトから学ぶ"海外進出の難しさ”とは

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┃2018/03/29 号
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今号のメルマガは、ヤクルトがフィリピンに土着化した話です。
日本企業のグローバル進出がどれだけ難しいことなのか、皆さんも
ニュースや書籍で読んだことのある方もいらっしゃるかもしれません。
自分たちの商品を現地で売る「現地化」だけでは対応できないことが
あるのだと、書籍『新しいグローバルビジネスの教科書』(PHP新書)
では指摘しています。

日本人がフィリピンに行って「現地化」するというと、フィリピンで
英語を話し、フィリピン人と同じような振る舞いを想起するかもしれ
ません。しかし、土着化はさらに深くのめり込んで「フィリピン人に
なりきる」ことにほかなりません。現地の人と生活を共にし、現地の
人たちの表面的な活動だけではなく、価値観を学び、自分の生活すら
も再構築することが必要になってきます。

◆進出当初、集金に失敗し、フィリピン市場から撤退寸前に
追い込まれたヤクルト

日本と同じビジネスモデルを1970年代にフィリピンに持ち込んだ
ヤクルトは、フィリピンでの累積赤字が拡大してフィリピンで事業を
継続するのが困難になっていました。販売員、つまりヤクルトレディが
回収した代金を私的に流用してしまうなど、なんと「集金」という
初歩的な段階から失敗していました。単純な問題のように見えますが、
ヤクルトには当時、ローカルの現実と向き合うためのノウハウを持って
いませんでした。日本だと社員が職に困らず、毎月決まった日に一定額
の給与が入ってきて当たり前なので、回収した代金を自分のポケットに
入れてしまうことは考えにくいかもしれません。当時のフィリピンに
おいて、金銭感覚やルールを叩き込まれていない人たちは、仕事と生活の
財布を分ける習慣がありませんでした。日銭で生活しているフィリピンの
人たちの状況が想像できなかったのです。

実は、日本本社がフィリピンからの撤退を決断しようとしたとき、後に
同社の専務になる若かりし平野博勝氏が初めて海を渡り、フィリピン
法人に乗り込みました。そしてあっという間にその厳しい現状を立て
直した経緯があります。事業を立て直したポイントはビジネスの土着化
でした。

平野氏がヤクルトのビジネスを土着化する方法は例えば以下のような
ものでした。まず、一日分の商品を販売員に渡し、その都度、代金を
回収させて銀行に入金させ、入力したという証拠を持ってきた販売員に
だけ、翌日の商品を渡します。買った人から確実に集金し、集金した
お金を直ちに銀行に入金させることで、フィリピンでは当たり前だった
代金未回収が劇的に解消したといいます。

お金を貯める習慣のないフィリピンの販売員は、給与を渡すとすぐに
全部使ってしまいます。家に持ち帰った瞬間に旦那さんが働かなくなり
ます。しかし、フィリピンではそれは特別なことではないのだと言います。
そこで、平野氏はお金を貯めさせる仕組みを考えました。給与は現金で
渡すのではなく、販売員名義の銀行預金通帳に振り込むことにしたのです。

◆現地の人たちと同じものを飲んで、歌って、踊って、食べて土着化

売る方法だけを考えていても、永久に商売はできません。自ら、
ビジネスの外へ出て、現地コミュニティの中に入り込んでいくことで、
現地の人に共感を覚え、どのようなビジネスの仕組みを作っていける
かということを一所懸命に考えたのが平野氏でした。

意外にもフィリピンへ立て直しに派遣されたのは、本社で“はみ出し者”
と呼ばれていた人たちで、“国際派エリート”ではありませんでした。
当時のヤクルトのフィリピン法人は赤字だったので、現地の人と同じ
ような場所に住み、現地の人たちと寝食を共にするなどしました。

現地の従業員に「こんなやり方ではダメだ」と指摘すると、当然、不平
不満を並び立てて来ます。現地の従業員を説き伏せなければいけませんが、
そのときも「上から目線」では通用しません。いくら正論を述べた
ところで、人は動きません。相手の立場に立ち、相手の顔を立て、本人
たちをやる気にさせなければなりません。そのためにも相手の懐に飛び
込むべきだと、平野氏は指摘します。

平野氏が言うグローバル化の重要性は以下のようなものです。
(1)飲みニュケーションはコミュニケーション
フィリピンでのビジネスパートナーである華人は、いわゆる「闘酒」を
挑んでくる。
(2)現地人が食べる食べ物を何でも「うまい、うまい」とよく食べる
現地社員と現地の食べ物でヤシ酒を飲んだ、
(3)教養も武器になる
シンガポールでは英国人ビジネスパートナーと文学や歴史談義をした。

歌が歌える、酒が飲める、踊れるといった素養は、ビジネスとは
まったく関係のない分野です。しかしながら、言葉を使わないで
お互いの信頼性、相手に対する敬意、ビジネスを「一緒にやりたい」と
思わせる行動こそが最終的には重要です。

平野氏は、本格的な英語教育をまったく受けていないと言います。
しかも、フィリピンでも英語が通じない、タガログ語(フィリピンの
言語)の世界に飛び込みました。ほとんど言葉はわかりませんが、
必死で商売をしようとすると最低限のことは覚えると言います。
商品を売ろうということよりも現地の人と一緒に仕事し、自分たちの
ビジネスを土着化したいという考えさえあれば、言葉はあとから
ついてくるのだと言います。

ビジネススキームさえ成り立てば、相手もお金になるから興味を示す
はずです。いくら口が達者でも、“筋の悪いビジネス”には誰も寄り
付いてきません。立場を逆転して考えてみて、相手の立場になって
みればわかることですね。グローバル化の本質は、上記のような
泥臭い部分にあるのではないかというのが同書の著者の見方です。

いかがでしたでしょうか。
直接、商取引と関係ない対象との間でも、飲んで、歌って、踊って、
食べる――交流はつきものですね。皆さんが海外へ飛び込んだ時、
日本人であることを忘れ、現地の人になりきって、本当の意味で
現地に根付いたビジネスを行うのは好きですか。もしかするとそこが、
本当の意味でのグローバルビジネススキルが試される分岐点になるの
かもしれません。

◆ソース◆
=================================
『新しいグローバルビジネスの教科書』(PHP新書)
https://www.amazon.co.jp/dp/4569824994/
pp.127-135
=================================

【Vol306】グローバル流“アポの取り方”とは?

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┃2018/03/22 号
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今号のメルマガは、ミーティングを設定する際のアポイント
(以下、アポ)には「柔軟に対応するのがグローバル流」という話です。
時間感覚というのは外国人と日本人とでギャップがあるという話は
以前にもメルマガで書きましたが(文末の◆ソース◆参照)、今回は
それが著しく現れている例の一つです。

書籍『これからのビジネスリーダーに贈る45の視点』(同文館出版)
から紹介します。著者の安田信氏が、PICA(アジア民間投資会社)と
いう日・米・欧州・豪・加の企業243社の共同事業に約20年勤務した
経験やその後も約20年、国際社会で仕事をしてきた経験から執筆した
書籍です。


◆急なアポ設定・変更が難しいのは日本独特のビジネス慣行?

日本の場合、アポを取る時は随分前からお願いしないと失礼だという
暗黙の了解があり、アポの時間を変えることはもっと失礼なことと
されています。企業経営のトップなど、重要なポジションにいる人に
アポを取ろうとする場合、何週間も前から、場合によっては1、2ヶ月も
前からお願いするのが普通でしょう。企業経営のトップは多忙ですから、
予定が詰まっているのは事実で、仮に「今週お会いできないでしょうか」
などとアポを取ろうとしても「そんな直前に言ってくるなんて失礼な」
と悪い印象を相手に与えてしまうだけです。

ましてや、いったん決まったアポの日時を変更してもらおうなどと
しようものなら、「失礼千万なヤツ」だと面会する前から嫌われて
しまいます。それが日本のビジネス社会での慣行でしょう。

本当に“分刻み”に忙しい場合は仕方ありませんが、「アポ設定が
容易でない人」という雰囲気を演出しているケースもあると安田氏は
指摘しています。どういうことかと言うと「あなたの都合に合わせ
ますよ」などと時間に柔軟に協力することによって、“重要でない
人物”と思われるのが嫌だという心理が働いているのかもしれないし、
あるいは秘書が、「忙しくてアポ設定は容易でない」という雰囲気を
ボスのために忖度して作り出しているというわけです。

安田氏はPICA勤務時代、海外の要人のために、日本の要人とのミー
ティングのアポ設定を長年やってきたと言います。両者の板挟みに
なって困ったことが年柄年中あったと振り返ります。海外の要人に
向かっては「アポは早めに入れて欲しい」「決まったアポの日時は
変更しないで欲しい」と何度も力説するのですが、なかなかそうは
いきません。海外の要人にはまったく悪気はないのだけれど、日本の
ビジネス社会での慣行通りにうまくいかない結果、日本側からは叱られ
たり、大変な文句を言われたことが度々だったと振り返ります。


◆柔軟に相手の都合に合わせてアポ設定・変更するのがグローバル流

安田氏の意見はこうです。世界市場や取引の状況は日々刻々と変わるし、
スケジュールも当然変更が発生します。それに対応する柔軟さや
スピードも必要です。そうした国際ビジネスの状況で生きていくため
(特にアジア地域内では“仲間意識”もあり)、時間やアポはお互い
あまりフォーマルならずに、柔軟に相手の都合に合わせていこうと
いう姿勢で協力しあっていると言います。

そのため、東南アジアや香港などのビジネスマンから見ると、相当
前からの依頼でないとアポが取れない、また、いったん決まった
アポの日時を変更するなどということは「ありえない」とする
日本の“アポ文化”は硬直した社会に映るのだと言います。

ニューヨークや香港、ロンドンなどの相当な要人たちも、直前の
アポの依頼を気にせず、可能なら、短くてもミーティングを受け
入れているということです。電話会議やテレビ会議に至っては
もっと柔軟で、いつ何時飛び込んでくるかもわかりません。時差の
ためにそれが深夜になることも珍しいことではありません。

「日本の決断は遅い。しかし、アジアや欧米の決断が早い」と
言われる原因の一つにアポに対する柔軟性の違いがあるかもしれない
と安田氏は指摘します。海外から数日前にもかかわらずアポを取りに
来たとか、日時を変更してくれと依頼が来たからといって、「自分を
見下している」などと腹を立ててはいけません。彼らに悪気はなく、
それが「普通」だと考えています。何とか15分でもやり繰りして
時間を作ればそのほうが感謝されるし、人間関係も築くことが
できます。アポの時間を作る努力をしないことによって、ビジネス
チャンスや人間関係が失われる損失のほうが、よほどマイナス面が
大きいと安田氏は指摘します。

いかがでしたでしょうか。
ビジネスの会合、面談、打ち合わせのため「何時に相手を訪問し、
どれだけの時間をもらえるか」というのは、なるべくアポで前もって
決めておいてその予定通りに厳格なほうがきっちりしていて良いだろう
という頭がメルマガ著者にはありました。しかし、安田氏によると
グローバルビジネスでは、時間については意外にも(?)自由度が
大きいほうがお互いに柔軟に対応しているということの表れで良い
のだそうです。みなさんのアポの自由度に対する感覚は厳格で
しょうか、それとも柔軟でしょうか。そしてそれは、対日本人と
外国人とで上手く使い分けることができていますか?改めて振り
返ってみると、意外な気付きがあるかもしれませんね。


◆ソース◆
=================================
『これからのビジネスリーダーに贈る45の視点』(同文館出版)
https://www.amazon.co.jp/dp/4495523813/
pp.88-91
【Vol.202】外国人の“時間感覚のズレ”は直るのか?
http://pegl.ldblog.jp/archives/46849048.html
【Vol.275】日本の時間感覚 VS 米国の時間感覚
http://pegl.ldblog.jp/archives/50531491.html
=================================

【Vol305】「シンプルな英語」を作る4つのテクニック

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今号のメルマガは、ノン・ネイティブが「シンプルな英語で
メッセージを伝える方法」についてです。英語コミュニケーションを
身につける勉強を皆さんは日々積み重ねているわけですが、
「なぜ必要なのか?」という本来の目的を改めて考えたことがあるで
しょうか。英語は「メッセージを伝える」ためにあります。
「カッコよく話したい」「恥をかきたくない」以上に「メッセージが
伝わる」ことが大切なのだと『世界で活躍する日本人エリートの
シンプル英語勉強法』(ダイヤモンド社)は述べています。

「メッセージを伝える」ためには、英語力以前に大切なことが以下の
ように4項目あると同書は言います。

1.大きな声で話す。
下手な英語でも聴こえなければ伝わりません。日本語のアクセントは
残っていても、聴こえるように堂々と自信を持って大きな声で話します。

2.「結論」と「根拠」を明示する。
伝えるべきメッセージの「結論」を明確にし、「結論」から述べる
ことが大切です。次に結論を支える根拠を明示します。結論と根拠の
流れがしっかりしている構成であれば、論理的なコミュニケーションが
できます。

3.論理構成が明確でストレート。
聴いていてスっと納得できる、シンプルだけれど説得力のある結論と
根拠を組み合わせると聴き手が理解しやすくなります。結論と根拠の
関係は、図示するとピラミッドの形をしており、頂上に結論が描かれ、
その結論を3つの根拠が支える「ピラミッド・ストラクチャー」と
言います。私たちが英語で意見を述べるときには、ピラミッド・
ストラクチャーで結論と根拠を組み立てることが大切です。また、
情報を伝えるときは、冒頭で要旨を伝えた後、詳細を述べます。

4.簡単な言葉を使う。
なるべく簡単な言葉を使います。こちらの発音に日本語アクセントが
残っていても、聴き手に聞き間違われるリスクが減ります。自分の
よく知っている単語を、自信をみなぎらせて使うようにしないと、
発言の説得力が薄れてしまいます。

◆具体例:スティーブ・ジョブズ氏のスピーチ
「シンプルに伝える英語」とは具体的にどのようなものでしょうか。
同書の中では一例として、スティーブ・ジョブズ氏によるスタン
フォード大学卒業式でのスピーチを著者は取り上げています(文末の
◆ソース◆に示したURL参照)。約15分のスピーチは、以下で示す
ようなシンプルなメッセージ、論理、表現で構成しています。

Today I want to tell you three stories from my life. That's it. 
No big deal. Just three stories.
(今日は、私の人生から3つの話をしたいと思います。ただそれだけです。
大げさなことではありません。わずか3つの話をするだけです)

The first story is about connecting the dots.
(最初の話は、点のつながりについてです)
(中略)

My second story is about love and loss.
(2つ目の話は、愛と喪失についてです)
(中略)

My third story is about death.
(3つ目の話は、死についてです)

まず、ジョブズ氏はスピーチの冒頭で、「(ジョブズ氏が得た)人生の
学びを3つ伝えることが本日の話の目的である」旨を聴衆(卒業生)に
向かって伝えます。明確な結論あるいは要旨を手短に伝えることが
大切です。わずか11のシンプルな英単語で表現しています。

本来なら、どのような「3つの学び」なのかを冒頭で伝えることが
結論の明確さを生み出しますが、ここではあえて、聴衆を話に引き込む
ために具体的な内容を伝えていないのだと同書の著者は述べます。
それでも、「本日の目的は、人生の学びを伝えることだ」という言葉から
始まることで、「ジョブズが人生から学んだことって何だろう?」と
いう聴衆の期待と問題意識が高まります。

同時に、スピーチが3部構成であることを伝えています。そして、
その後に続くスピーチの中で、論理構成を聴衆が理解するための助け
として、3部の冒頭に、「first(第1に)」「second(第2に)」
「third(第3に)」と目印になる言葉を加えています。これにより、
論理構成が一層わかりやすくなっています。

そこで使われている英単語は「connecting dots(点のつながり)」
「love and loss(愛と喪失)」「death(死)」という簡単なものです。

ジョブズのスピーチの特徴は、
1.結論が明確
2.論理構成がストレート
3.簡単な言葉を使っている
――ということです。

卒業式という晴れの場で、15分のスピーチを聴く側は、落ち着きを
なくしてじっとしていられないものです。だからこそ「シンプルに
伝える英語」が徹底されているとも言えるのでしょう。そして、
これらが、私たちノン・ネイティブスピーカーの目指すべきゴールだと
同書では述べています。

いかがでしたでしょうか。
同書を読んでメルマガ筆者がふと頭を横切ったのはトランプ米大統領
の英語です。「1. 結論が明確」と「3. 簡単な言葉を使っている」は
見事にあてはまっています。「2. 論理構成」は乱暴なところが
ありますが、「シンプルな英語でメッセージを伝える」方法には
違いないと納得した次第です。

みなさんは、「シンプルな英語でメッセージを伝える」ということに
心を配っていますか。どのようにシンプルな英語でメッセージを
伝えていますか。


◆ソース◆
=================================
『世界で活躍する日本人エリートのシンプル英語勉強法』
(ダイヤモンド社)
https://www.amazon.co.jp/dp/B079LV136Z/
pp.186-191

スティーブ・ジョブズ氏によるスタンフォード
大学卒業式でのスピーチ(Youtube)
https://www.youtube.com/watch?v=VyzqHFdzBKg
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