※本メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、
 本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。

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┃ ┃ 『実践ビジネス英語講座』 メールマガジン      
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┃    グローバルリーダーへの道          2014/06/19 配信
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 先日、実践ビジネス英語講座・上級コースの4月生を対象に、大前研一学長とBBT
 大学の超人気英語講座を担当しているスティーブ・ソレイシィ教授を招き、白熱
 したリアル講義を3時間に渡って行いました。今回は、その講義内容をご紹介し
 ていきます。

 実践ビジネス英語講座の受講生に対するアンケートでは、いかにTOEICテストが
 高得点であっても、マネージャーとして現地でタフな交渉が求められるといった
 場面になると、自信が無いという姿が浮き彫りになりました。

 英語がいくら出来ても、ローカルでセンシティブな事について何も知らなければ、
 マネジメントリスクは高まるのです。英語が下手であれば、相手側は我慢してく
 れますが、英語が出来ると皮肉な事に反発も高まるのです。これまで、現地で失
 敗した事例は数多くあります。

 例えば、米国の日系企業で、日本人社長によるセクハラ訴訟事件では、自分の
 セクレタリーに対して、「You look good well today.」「You look fantastic.」
 と2日続けて褒めたのに、訴えられて敗訴してしまった事例があります。これは、
 繰り返しのパターンに下心ありと解釈されてしまったものです。その社長は、英
 語が上手く、人柄も良かったのですが、セクレタリーはそういう事が大嫌いだっ
 たのです。結果、その社長はクビになっただけでなく、多額の賠償金が課せられ、
 クリミナルレコードにも記録されて、再就職が極めて困難となりました。

 ハーバードのケーススタディでは、米国の日系企業で、入口に近い駐車場が日本
 人スタッフに与えられた事に対し、現地スタッフがストライキに踏み切った事例
 が挙げられています。元々、日本人スタッフに与えられた使命は、ローカルのマ
 ネジメントをどうオペレーションするかを考え、成果を引き出すはずでしたが、
 命令する為に来ているとか、雨の日は濡れるのが嫌だから入口に近い駐車場を占
 める、といったメンタリティが失敗の近道となってしまいました。

 こうしたローカルの理解不足が招いたビジネスの失敗は数多くありますが、失敗
 は人に言いたくないので、失敗事例をまとめたものは存在しません。郷に入って
 は郷に従えと言われる様に、日本から一歩出たら何事も通用しないという謙虚さ
 が必要です。

 米国のキャスターは、ソクラテスの対話法を練習します。「自分がオバマ大統領
 になったつもりで発言する」、「サダムフセインが単独インタビューに応じる」
 といったシチュエーションによる練習を、何度もカメラリハーサルと一緒にシミュ
 レーションするのです。

 つまり、英語力と対話力は車の両輪であり、状況を設定した上で、マネージャー
 としての交渉を一緒に練習する必要があります。シミュレーションを通じて、頭
 のトレーニングを繰り返すのです。

 今回のリアル講義では、日本人がグローバル舞台で失敗した事例を元に、ローカ
 ルでセンシティブな内容を含むシーンを7つ設定しました。スティーブ・ソレイシィ
 教授には、状況設定を事前に知らせず、ぶっつけ本番でロールプレイに臨みまし
 た。こうして、困難な状況設定に放り込まれたソレイシィ教授と、大前学長との
 タフな交渉が始まりました。

 
 ◆Situation 1 - lcemelting◆
 相手の生い立ち(出身、家族、プライベート)を聞くことで、双方の距離を縮めま
 す。目的が違うとアイスメルティングの内容も変わってきます。

 例えば、米国工場の責任者として赴任してきた場合、前任者との関係や、これま
 での仕事の話を聞きながら、新しい関係を築きます。例えば、経費削減や人員削
 減などの難しい交渉が控えている場合、その人の信頼を得て、協力を得る為の話
 を進めなければなりません。


 ◆Situation 2 - Management meeting◆
 リストラを進めるには、どの様に打ち合わせをするか、現地メンバーがどう感じ
 ているか理解と配慮をしながら相談していきます。赴任している日本人が本社の
 スパイをしているのではないか、といった疑問をクリアにする必要があります。
 例えば、予定通りに物事が進んでいない場合、状況を確認するには、現地協力者
 の力を借りながら進めます。

 会議を上手く進める事は、マネジメントにおいて非常に重要な事です。アジェンダ
 を用意し、参加者の状況を察知し、外国語で会議を仕切るのは、実は大変な事で
 あり、甘く見てはいけません。開催を月曜日にすると、参加者が何を言うか考え
 る時間が出来ますし、会議を意思決定の場とするには、会議室の雰囲気や人数を
 適切にしたり、難しい話をする時はローカルの文化に合わせる事も必要になります。


 ◆Situation 3 - Diagnosing the Company◆
 企業分析をするには、例えば財務情報がどう組織に伝わっているか、意図が正し
 く理解されているか知る必要があります。もし人によって認識が違うのであれば、
 何かがおかしいので、各部門の代表を集めて話を聞く事が必要になります。実際
 は、組織の横のつながりが上手く行っている企業は、ほとんどありません。


 ◆Situation 4 - Plant closure◆
 どの様に人員削減を進めるかについては、組合が強ければ、従業員を守る力が強
 くなります。とはいえ、経営判断として、必要が無くなった工場を閉じて、お金
 を作る必要があります。

 果たして誰に協力して貰えば良いのでしょうか? 現地のコミュニティーとの関
 係も大切ですし、現地政府が初めの再雇用トレーニングを提供してくれる事もあ
 るので、彼らにこれまでどの様な努力をし、なぜこの様な状況になったのかを説
 明し、情報共有する必要があります。もちろん、工場閉鎖に対する企業としての
 責任と、明確な理由も説明する必要があります。


 ◆Situation 5 - Dealer Convention◆
 展示会や見本市に参加する日本企業は、真面目で堅すぎる事が多いものです。会
 社と商品について、ポジティブに伝える為に「演じる」ことも重要です。日本か
 ら本社のトップが来る場合、何を言うべきか、現地の事情を一番よく知る現地責
 任者がハンドルを握る様にします。


 ◆Situation 6 - Procurement◆
 企業と調達先となるベンダーとの関係は、日本では対等、韓国では非対等、米国
 では状況によって違います。国によっては現地調達率が決められているので、こ
 れに従う必要があります。調達においては賄賂が起きやすいので、担当者を複数
 にするなどの工夫が必要です。


 ◆Situation 7 - Strategic Planning◆
 企業のコアメンバーを集めて、戦略推進チームを作る場合、熱意があり、変化を
 起こしたい人を選び、モチベートする必要があります。メンバーを見分ける場合、
 誰かに聞いて経歴を調べ、熱意と会社へのコミットメントを確認します。


 ◆最後に◆
 大前学長は、「今の日本企業は海外要員が足りないので、意外と早くこういう状
 況に放り込まれる事が多くなっています。今日から、シミュレーションを始めて、
 何度もプラクティスする事によってのみ、皆さんは向上すると思います。」と締
 め括りました。

 さて、皆さんも、シミュレーションによって、英語力と対話力を向上させてみま
 せんか?