※本メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、
 本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。

■━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
┃ ┃ 『実践ビジネス英語講座』 メールマガジン      
┣━┛ 
┃    グローバルリーダーへの道          2015/04/23 配信
┃                    【 6月期生 申込受付開始!】
┃                     5月20日(水)23:59まで受付中!
┃                     http://goo.gl/UgFLLe
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

 これまで本メルマガでは、コミュニケーションやプレゼンテーションをテーマ
 にみなさんに話題を提供してきましたが、今号のメルマガでは、われわれ日本
 人が最も苦手とも言える交渉術 (ネゴシエーション)についてとりあげたいと
 思います。交渉術は、“相手との駆け引き”というニュアンスも含みます。
 交渉の具体的な仕方を、実践ビジネス英語講座・リーダーシップ力トレーニン
 グコースで講師を務めるロッシェル・カップ氏の著書『外国人との交渉に成功
 するビジネス英語』(語研)から3回シリーズで紹介します。

 第1回:交渉テクニック
 第2回:なぜ、日本式交渉が外国人に通用しない(失敗する)のか
 第3回:交渉における文化や国による違い

 第1回の今号は、具体的な交渉テクニックを紹介します。同書にはいろいろな
 交渉テクニックが掲載されているのですが、メルマガ筆者が交渉相手だと想定
 して交渉テクニックを使われた場合、「このやりとりは手ごわい」というもの
 を選んでみました。
 交渉術は自分が実際に使うかどうかは別として、相手が交渉術を使っているか
 どうかを察知できることは相手のペースに引き込まれないために重要なことです。
 著者は、以下の(A)~(C)を念頭に置くことが大切であると述べています。

(A)自分に対してなんらかの交渉術の手法が使われた時、すぐに「交渉術の
   1パターン」であることが察知できること。
(B)敵対的ともとられる交渉術に関しては、あくまでも察知と対応に焦点を
   あてること。
(C)敵対的な交渉術に関しては、できるだけ、使用を控えること。

 同書では18の交渉テクニックが紹介されています。
 その中から(1)~(3)を紹介します。

 (1)Deadline Negotiation (締切を設定する)
 この交渉手法は、「いつまでに相手が行動しなければならない」という締め切
 りを設定することと、「その締め切りを絶対に厳守させる必要がある」――
 ということを強調するためのものです。
 
 “I have a conference call with Akira tonight. He will be 
 interested in hearing what we have agreed on today.”
 (今夜アキラさん※との電話会議があります。彼は、今日私たちが合意したこ
 とを聞きたがるでしょう)

 ※アキラさんは、上司、顧客、提携パートナーなど、交渉者双方にとって重要
 な立場に立つキーパーソンです。「アキラさんのようなキーパーソンも締め切
 りが厳守されるかどうかを注目している」ということを間接的に相手に伝えま
 す。「仮に、締め切りに遅れたら、交渉者双方だけでなく、アキラさんの知る
 ところになります、それは具合悪い」でしょ?というプレッシャーを相手に与
 える効果があります。

 (2)Bluffing Negotiation (ハッタリをきかせる)
 交渉相手に対してハッタリをきかせることで、望ましい交渉成果を得ようとす
 る交渉手法です。この手法は大げさに言ったり、悪意の無い誇張を用いて、相
 手の考えに影響を及ぼそうというものです。
 例えば、自分が不動産を売る側の場合は、その物件に興味を持っている人がほ
 かにもいることをほのめかします。自分が買う側の場合は、同じものを売って
 いる他社とも話しをしていることを伝えます。そうすることで、相手に不安を
 与えます。
 “This kind of home will not last for long in the market.
 (このような住宅物件はすぐに買い手がついてしまいますよ)”

 上の売り手のBluffingに対して買い手もBluffingで返す例です。

 “Well, I like this place, but I have just had an offer of a similar 
 house at a much lower price.
 (なるほど、この住宅物件は気に入りましたが、実は同じような住宅物件の紹
 介を既に受けていて、ずっと低い価格を提示されているのです)”

 Bluffingを用いることに決めたら、自信を持って主張します。口調にためらい
 があると、ハッタリだとばれてしまうことがあります。

 (3)Purposeful Questions (目的に応じて質問を工夫する)
 交渉の目的を達成するために、質問の繰り出し方を「相手の返事がこうだった
 次はこう質問しよう」とあらかじめ考えておくことです。イメージは悪いかも
 しれませんが、誘導尋問と似ていると思います。うまく“誘導尋問”すること
 で、相手の考えを自分が望んでいる方向に導くことできます。質問の仕方ひと
 つで、交渉の成果は驚くほど変わるのだと本書では述べています。

 具体例を見てみましょう
 あなたはある企業の営業職を希望しているとします。採用面接を受けることに
 なりましたが、交渉したい点が2つあるとします。ひとつはフレックスタイム
 で働くこと。もうひとつは、週2~3日は在宅勤務にすることです。みなさんで
 したら、どのように攻めますか?
 同書では交渉にあたり、あらかじめ作戦を練って決めておくことが大切だと言
 います。いきなり直球の質問を投げてしまうと、話し合いの幅や奥行きが狭ま
 ってしまいます。Yes/Noの回答を促すような質問をした場合、Noと言われてし
 まったら、そこで行き詰まって、先へ進めなくなってしまいます。
 例えば

 “Does your company offer flexible working hours?
 (貴社はフレックスタイム制がありますか)”

 と交渉の初期段階で質問したとします。そこでNoと言われてしまったら、交渉
 の次の段階ヘ進むのが難しくなります。まずは情報を得るための質問をするこ
 とで、相手がどのような反応に出るかを探ってみましょう。相手の出方によっ
 て、次の作戦を考えます。
 直球型の質問ではなく、こう質問したら相手はどう答えるでしょうか。

 “What is more important to you ― that the salesperson is in the 
 office 40 hours a week, or that he or she increases sales?
 (貴社にとって、営業担当者が週40時間オフィスで仕事をするのと、実際に売
 上げの数字を上げるのとでは、どちらが重要ですか)”

 売上を伸ばす能力こそが今の会社にとって重要なことであることをお互いに理
 解できたとします。交渉者はそのような能力を持っていて、実績もあるので、
 会社にとって必要な人材であることも明確に説明済みだとします。本題に戻っ
 て、こう質問します。

 “Can we talk more about flextime? Do your salespeople have to be in 
 the office from nine to five?
 (フレックスタイムについて話を進めてもよいでしょうか。営業担当者は朝9時
 から午後5時までオフィスにいる必要がありますか)”

 最後に、もうひと押しの時に備えて、交渉の切り札も準備しておくのが効果的
 です。
 “If I could guarantee an increase in your sales volume, would 
 you be willing to consider more flexible working hours?
 (売上高を伸ばすと保証できれば、もっと柔軟な勤務時間を考慮していただけま
 すか)”

 いかがでしたでしょうか。
 交渉相手となかなか合意に至らない場合があります。その場合も冷静に質問を繰
 り返しましょう。そうすることで相手から情報を引き出すことができます。聞き
 上手であることが大切です。注意深く聞いていることが相手に伝われば、相手も
 心を開いて、質問者が求める情報を教えてくれるものです。同書によると、交渉
 の成否の3/4は、「聞き方」にかかってくるのだと言います。聞き上手である
 ことを交渉に利用して、有利な方向に持っていくことを目指しましょう。

 次号では、第2回「なぜ、日本式交渉が外国人に通用しない(失敗する)のか」を
 ご紹介します。お楽しみに。


 ◆ソース◆
 ============================================
 外国人との交渉に成功するビジネス英語(語研)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4876152322
 pp.68-81
 ============================================