※本メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、
 本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。

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┃ ┃ 『実践ビジネス英語講座』 メールマガジン      
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┃    グローバルリーダーへの道          2015/05/14 配信
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 今号のメルマガではマネジメント・スタイルについて取り上げます。実践ビジ
 ネス英語講座・リーダーシップ力トレーニングコースで講師を務める米国人の
 ロッシェル・カップ氏は、マネジメント・コンサルティング歴が長く、日本人
 マネジャーの長所と欠点を間近で見ています。カップ氏が特にコンサルティン
 グの対象としているのは、「米国式上司を期待している米国人社員」を管理す
 る日本人マネジャーです。カップ氏によれば、日本人マネジャーは、米国や他
 の国々では時代遅れ、または効果がないとされているマネジメントのアプロー
 チをいまだに用いていることが多いと言います。カップ氏の著書の『日本企業
 の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか』(インプレス)から、日
 本人マネジャーが外国人社員を管理する際の盲点について解説します。

 リクルートが中国、日本、シンガポール、インドのアジア4カ国で約300人ずつ
 合計約1200人の社員を対象として実施した調査「アジア4カ国の上司像と働き
 方に関する調査2012」(文末URL参照)によると、「上司への満足度」で日本
 は最低のスコアを記録しています。インド人社員の82%、中国人社員の89%が
 現在の上司のマネジメント・スタイルに満足しているのに比較して、日本人社
 員の満足度はわずか50%でした。

 タワーズワトソンが実施した調査でも類似した結果が出ています。「上司がマ
 ネジャーとしての仕事を効果的にこなしているか」という質問に対して日本人
 社員で「こなしている」と回答したのは45%、「どちらでもない」は39%、
 「こなしていない」は16%でした。世界平均は「こなしている」が61%、「ど
 ちらでもない」は25%、「こなしていない」は15%でした。

 日本人マネジャーはどうして評価が低いのでしょうか。日本人マネジャーの弱
 点について同書は考察しています。


 ■日本人マネジャーの“マイクロマネジメント”は自身の保身のため?

 日本人マネジャーに関して最も問題が大きいのは、“マイクロマネジャー”と
 して過度に細部に気を配るマネジメント・スタイルです。マイクロマネジャー
 とは部下の仕事を極度にコントロールしたがるマネジャーのことを言います。
 マイクロマネジャーは部下の仕事の細部にわたって、すべての段階でチェック
 を入れ、仔細な意思決定にまで関与します。 

 米国人マネジャーなら部下に作業を一任し、細部は気にしません。米国人は一
 人前のプロフィールを持っている社員なら、プロジェクトの責任を持ってすべ
 てを処理するものだと考えていると、カップ氏は述べます。マネジャーから委
 託された個別の仕事に対し、自分の専門知識をフルに動員し、持てる力の全て
 をそこに注ぎ込むものと捉えているわけです。専門知識も力もあって仕事を一
 人で完遂できる米国人社員は、マネジャーの助言を頻繁に求める必要がないと
 考えられています。個人の仕事は個人の産物であり、個人の業績のみを反映し
 ているものであるという考え方です。米国人上司は最初に緻密な指示を与え、
 あとは部下が「ボールを受け取って走り」(米国で頻繁に使われるイディオム
 です「take the ball and run with it」)、「独立して行動」(同「works well 
 independently」)することを期待しています。よってマネジャーは自分の部下
 が取り組んでいる仕事の詳細をすべて把握していることは必要とされていませ
 ん。自分の管轄下にあるプロジェクトの詳細についてマネジャーが把握してい
 ない場合、上層部に対して「ちょっと分からないので、担当している部下に確
 認して後から報告します」という回答は正直で妥当であるとされるのだと、カ
 ップ氏は述べています。

 一方、日本人マネジャーはすべてを監視し、細部にまで口を出すという点に心
 当たりはないでしょうか。日本では上司が部下の仕事の内容に責任を持つこと
 になっているため、必要に応じて上司自身が納得するように部下の仕事をやり
 直すことも多く見られます。日本人マネジャーは自分の部署で進行している仕
 事の非常に細かいことすべてを把握して、上層部からどんな質問があっても、
 即答できるように準備しています。即答できなければ上層部から注意や叱責が
 あり、将来の昇進の道を閉ざしてしまうと恐れているわけです。結果としてそ
 れが息苦しいマイクロマネジメントのスタイルにつながっているのだと同書は
 指摘します。


 ■ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は米国人社員には期待できない

 ホウレンソウ(報告・連絡・相談の頭文字を並べたもの)は、大学卒の新入社員
 が社員教育で一番最初に学ぶ仕事のやり方です。この概念は日本でこそ一般的
 に普及しており、知らない人はいないと思いますが、米国では知られておらず、
 英語の言葉すら存在しません。同書によると前述した「マイクロマネジメント」
 が最も近い言葉です。カップ氏が開催するセミナーでは、「ホウレンソウ」が
 出来ていない米国人社員が多いのだと、次のような嘆きを日本人マネジャーか
 ら多く聞くのだと言います。「なぜ自分の部下は、進捗状況や質問の有無を自
 分に報告しないのか?部下の仕事の状況について闇の中に取り残されているよ
 うな気がする」――。米国人に特有の「独立して行動」する仕事の仕方、つま
 り仕事の進捗状況や完成度など途中経過が見えず、締切期限の直前になって初
 めて最終的な完成物をまとめてドカンと渡されるようなやり方は、日本人マネ
 ジャーにとって不慣れで戸惑うものです。「締切期限までに果たして間に合う
 のだろうか」「完成度が低かったらどうしよう」と不安に感じることでしょう。

 米国では部下が「ホウレンソウ」を実行すると、米国人マネジャーはその部下
 のことを「手を引いての世話が必要な仕事能力に欠ける人材」だと判断するこ
 とになるだろうと同書は指摘します。


 ■マイクロマネジメントの対極にあるエンパワーメントが米国のトレンド

 マイクロマネジメントと対極にあるマネジメント・スタイルが「エンパワーメ
 ント(権限委譲)」です。同書によると米国ではエンパワーメントが非常に効果
 的であるとされています。エンパワーメントとは、社員が賢明で責任感が強い
 と信じることに基づいています。エンパワーメントを与えられた社員は上司の
 承認を取らずに自分で意思決定できます。近年、社員にエンパワーメントを与
 えて、個々の社員に意思決定を任せることが米国企業でトレンドになっている
 のだと同書では言います。個人だけでなくチームの全員に対し、上司に相談す
 ることなしにチームメンバーのスケジュールを管理したり、意思決定できるよ
 うなエンパワーメントを与えることも重要だと同書では説きます。日本のマネ
 ジャーは、社員をもっと信頼し、社員が自分で考えて行動する裁量を与えるこ
 とが必要だと同書ではアドバイスしています。

 いかがでしたでしょうか。
 みなさんには自分が今までに慣れ親しんだマネジメント・スタイルがあると思
 います。それだけで突き進もうとすると、時に予期しない不具合を生じかねま
 せん。特にグローバル環境では要注意。自覚のないまま行っているマネジメン
 ト・スタイルがあるかもしれません。それを自覚した上で、日本人・外国人の
 個々の部下に応じたマネジメントを意識的に行うのが望ましいと言えるでしょ
 う。本メルマガが、みなさんのマネジメント・スタイルを見直すきっかけにな
 れば幸いです。


 ◆ソース◆
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 日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか (インプレス)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4844373951/
 pp.164-175

 アジア4カ国の上司像と働き方に関する調査2012 (リクルート調査)
 http://www.recruit-ms.co.jp/research/inquiry/in121128.html
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