※本メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、
 本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。

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┃ ┃ 『実践ビジネス英語講座』 メールマガジン      
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┃    グローバルリーダーへの道          2015/06/18 配信
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 日本の大学で英語を教えている木村和美氏は、英語で学生に質問して正解を答
 えた学生全員に“Excellent!”と褒めていたそうです。
 そのような“Excellent!”を連発する先生に皆さんもきっと心当たりがあると
 思います。「そんなにスゴイ難しい問題に答えたわけじゃないのにExcellent!
 だなんて。この先生、大げさじゃない?」とある学生が隣の学生にささやいて
 いるのを木村氏は聞いてしまったそうです。皆さんも“Excellent!”と言われ
 て「小学生じゃあるまいし」と感じたことがあるかもしれません。その後、木
 村氏は学生たちに自分の経験を話し、たとえ間違っていても、自らの意見を積
 極的に言おうとする態度が大事なので“Excellent!”などと褒めているのだと
 説明しました。それ以降は、学生たちも木村氏の方針を理解し、積極的に発言
 したり、手をあげて発言する学生が多くなり、クラスが活気づいたと言います。
 メルマガ筆者も冷めた反応もある一方で、「実は本当にExcellentだったりし
 て?」と密かに喜んでしまう単純(素直?)な人間です。

 実際に英語で褒めようとする場合、どういうふうに表現したらいいのでしょうか。
 木村氏の著書『ポジティブ・イングリッシュのすすめ』(朝日新書)によると、
 定番の表現があると言います。米ペンシルバニア大学教授のWolfson氏の調査に
 よると、アメリカ英語の「褒める英語」はかなり決まり文句化していると分析
 しています。これは、ノンネイティブにとっては朗報で、「褒める英語」の常
 套句を頭の中に入れて、日常的にいつでも口に出して言えるように準備してお
 けば褒めることが容易になります。木村氏がすすめる褒め言葉の定番パターン
 が5つあります。

 (1)形容詞一言で褒める
 日本語でも「すごい!」などと一言で褒める場面がよくありますが、英語でも
 褒めるときの最も簡単な言い方、それが一言の形容詞です。そう言われてみる
 と、皆さんも下に列挙したような表現を耳にしたことがあると思います。短い
 にインパクトがあり、「すごい!」という気持ちが素直に表現されます。相手
 の持ち物、仕事ぶり、グッドアイデア、スポーツのファインプレイなどを褒め
 るときに、間髪入れずにタイミング良く使います。日本語だと同じ「すごい!」
 一種類の表現に対して、何種類もの形容詞があるのが英語の特徴ですね。外国
 人が褒めているのを聞いたことがあって、何となく聞き覚えのある形容詞でも、
 実際に使ったことがない形容詞だと、いざというときに口にするのを躊躇して
 しまうので、不自然な“間”が生まれてしまいがちです。不慣れな言い方があ
 ったら、いざというときに備えて自信を持って言えるようにこっそり練習して
 おいたほうがいいですね。

 Very good! とてもいいですね!
 Great! いいですね!
 Nice! いいですね!
 Terrific! すごい!
 Fantastic! すばらしい!
 Wonderful! すばらしい!
 Excellent! とてもいい!
 Super! 最高!
 Fabulous! すてき!
 Magnificent! すばらしい!
 Marvelous! すばらしい!
 Awesome! すごい!
 Brilliant! すばらしい!

 一言形容詞で褒めるときに大事なのは、自分の気持ちを思い切り込めてイント
 ネーションを大げさなくらいにつけていうことです。外国人が褒めるとき、大
 きな口を開けて、両手を大きく広げて体全体を使ったジェスチャーをするのを
 良く見ますが、それくらい大げさで良いのでしょう。言うのを照れてしまって
 抑揚もなくそっけなく小さな声でぼそっと褒めても、相手には褒め言葉に聞こ
 えません。発音が正確なことに越したことはありませんが、発音の正確さより
 もイントネーションに大きな抑揚をつけるほうが大事です。そして、褒めるか
 らには躊躇しないことです。“Great!”などと大きな抑揚をつけて褒めるのと
 何も言わないのとでは、相手に与える印象が全く違うので、相手に好印象を持
 ってもらう大きなチャンスです。

 相手のファーストネームを呼ぶことはほめる心得の一つですが、この形容詞一
 言のときは特に、ファーストネームをつけることが欠かせません。ファースト
 ネームを呼ぶのに慣れていなくても、この時とばかりに親愛の気持ちを込めて
 はっきりと呼んであげることが大事ですね。

 (2)You are (look) ~/Your_is ~ (~ですね/あなたの_は~ですね)
 第2文型(S+V+C)として学校で習ったbe動詞と形容詞を組み合わせる表現
 です。特に、相手の外見や性格や能力や持ち物を褒めるときの定番です。
 Wolfson氏の調査によると、褒め言葉の半分ぐらいはこの表現が使われている
 と言います。~に当たる形容詞の語彙が豊富だと、いろいろな場面で使えます。

 You are attractive. 
 魅力的ですね

 Your watch is nice. 
 あなたの腕時計は素敵ですね

 be動詞の代わりに、一般動詞lookも同じ第2文型の中で置き換えて使えます。
 be動詞と一般動詞lookを使うときのニュアンスの違いは、be動詞だと断定的
 ですが、lookはそれに比べると主観が入る分だけ、婉曲的になります。

 (3)I like ~ (~はいいですね)
 第3文型(S+V+O)として学校で習った表現です。(2)で使った第2文型
 (S+V+C)のYour dress is nice.でも言いのですが、I like your dressを
 使うと「私はいいと思う」「私の好みと良く合致している」という親近感を
 持って褒めているニュアンスが出てきます。

 I like your new hair style. 
 新しいヘアスタイル、いいですね

 I like your salad dressing. 
 あなたのドレッシングは美味しいすね

 I like~は、主観的なコメントになり、客観的な成否や上手・下手にかかわら
 ず使える表現であるため、あらゆる場合に幅広く対応できるのが特徴です。
 例えば、残念ながら成果は出なかったとしても“I like your active 
 participation”(積極的に参加しているのがいいですね)と肯定的に受け止
 めてあげるときに使います。「そういう態度が私は好きですね」というニュ
 アンスを込めてポジティブなコメントにして褒めることができます。

 (4)I am so impressed with ~ (~には感心しました)
 Impressは良い印象を与える、感心させるというポジティブな意味の動詞です。
 I am so impressed!だけでも、気持ちを込めて言えば、もうそれで立派な褒
 め言葉として使えます。withを使ってより具体的に感心したポイントを表現
 します。いずれにしても、イントネーションをつけて、いかにも「感心した!」
 という感情を込めて言うことが大切です。

 I'm impressed with your report. 
 あなたの報告書には感心している

 Everyone was quite impressed with your cooking. 
 皆、あなたの料理には本当に感心していました

 (5)I admire your ~ (~には感心します/~を尊敬します)
 admireは、「感心する」とか「感嘆する」という意味の動詞です。I like~と
 同じように、Iを主語にしているので、自分の相手に対する評価の気持ちが前
 面に出る表現です。I like~やI’m impressed~よりもっと褒める度合いが
 強くなるので「尊敬する」という気持ちが込められます。「あなたには感心し
 ました」という感じでI admire you.という言い方もあります。

 I admire your effort. 
 あなたの努力には感心しますよ

 I admire your perseverance. 
 あなたの努力には感心しますよ

 その他、次のような言葉もI admire your~に使うことができます。

 leadership(リーダーシップ)
 creativity(創造性)
 cooperativeness(協調性)
 hospitality(親切心、手厚いもてなし)
 bold decision(英断)
 keen insight(読みの深さ)

 いかがでしたでしょうか。
 メルマガ著者はいい年ですが、ちょっとしたことでも褒められたりすると「褒
 めるのが上手だな」「いい印象だな」と褒めてくれた人のことに対して好印象
 を持ちます。また、自分が褒められると褒め返したくなったり、あるいはほか
 の人が褒めている対象に対して賛同の褒め言葉を追加したくなったりします。
 褒めるのにもタイミングがあります。そのようなタイミングの時、今号のメル
 マガでとりあげた「すぐに使える、褒める英語表現、簡単5パターン」を思い
 出して、タイミングを逸することなく、ぜひ褒め言葉を発してもらえれば幸い
 です。


 ◆ソース◆
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 ポジティブ・イングリッシュのすすめ
 http://www.amazon.co.jp/dp/4022731680/
 pp.23-25、p.63、pp.102-107、pp.118-131
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