※本メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、
 本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。
 
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┃    グローバルリーダーへの道          2015/08/13 配信
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 メルマガ読者のみなさんは「英文法や英単語は学校で習ってきた通りなので正
 しいはずなのに、他国の人に英語がなぜか伝わりにくいような気がする。おか
 しいな?なぜなのだろうか?」と疑問に感じている人はいらっしゃいませんで
 しょうか?『ロジカルイングリッシュ』(ダイヤモンド社)の著者の有元美津世
 氏が日本人の英語を指導しながら観察したところによると、主な要因には以下
 の3つがあるのだと言います。3つの問題点を解決するために有元氏は「ロジカ
 ルイングリッシュ」と呼ぶ、「自分の言いたいことを英語で伝える技術」を提
 案しています。さらに、ロジカルイングリッシュの基本となる「伝わる英語」
 に欠かせないルールも12項目、有元氏は提唱しており、ルールはいずれも「英
 語として正しいかどうか」以前の、英語ならではのコミュニケーション・スタ
 イルを身につけるのが目的だと有元氏は言います。

 今号ではその3つの問題点と12項目の中から代表的なものをピックアップして
 紹介します。

 【問題点1】日本語の単語を、英単語に置き換えているだけの直訳
 日本語の単語を一字一句英語の単語に置き換えても、表面上は英単語が並んで
 “英文”のように見えますが、英文の裏にある考え方は日本語のままです。


 ■ロジカルイングリッシュのルール1 一文一語で伝えない

 I probably caught a cold from my wife who had a cold last week.
 (先週風邪を引いていた妻から、風邪を移されたのかな?)

 上の英文はカッコ内の日本語が一字一句、英語に置き換えられています。和文
 英訳の問題であれば正解です。ですから、実際の英語でもこうした英文を使う
 ことに当然のことながら抵抗なくなってしまっています。しかしながら有元氏
 はこの英文は“悪い例”なのだと言います。

 この英文のどこが悪いのでしょうか?
 有元氏によると、日本語で一文だからと言って、一文に収めるのをやめるべき
 だと同書の中で述べています。一文に収めるために、上記では関係代名詞「who」
 を使っています。ところが、会話ではwhoやwhichなどの関係代名詞を使うこと
 は稀なのだと有元氏は言います。関係代名詞を使って、日本語をそのまま英語
 に置き換えたため、複雑な文章になっている点が悪いところということになり
 ます。

 それでは、“良い例”に修正するにはどうしたらよいのでしょうか?

 ――文章を二つに分割します。I probably caught a cold from my wife.でい
 ったん文章切ります。そして、she, it, thatなどの代名詞を主語として、新た
 な文章を始めるのが一般的なのだと有元氏はいいます。 

 I probably caught a cold from my wife.
 She was sick last week.
 (妻から風邪を移されたかな?先週、彼女は具合が悪かったから)

 【問題点2】非常に簡単なことを、やたら複雑な文で言おうとする。
 「難しい英単語を使うと知的に聞こえる。英語に堪能にみえる」というのは誤
 解で、日常会話に難しい英語表現を使うということは、英語をマスターしてい
 ないことを露呈しているだけだと有元氏は指摘します。


 ■ロジカルイングリッシュのルール2 難しい単語、表現を使わない

 I tried to acquire information online.
 (オンラインで情報を取得しようとした)

 上の文章は文法的には間違っていません。しかしながら、acquireといった仰々
 しい英単語を使っており、自然な英語ではなく悪い例なのだと有元氏は言います。
 良い例ではどのような英語になるでしょうか?

 I tried to get information online.
 (オンラインで情報を得ようとした)

 中学校で学ぶ英単語や表現を使っており、拍子抜けするほど簡単な言い回わし
 です。ネイティブは日頃、こうした非常に簡単な英単語や表現を使うのだと言
 います。日本人のほうが難しい英単語を使うぐらいだと有元氏は言います。以
 下がその例となります。

 日本人がよく使う難しい表現 → ネイティブが使う表現
 Acquire(入手する)    →  get
 Advise(忠告する、通知する)→  say, tell
 Approximately(おおよそ)  →  about
 Assist(手伝う)       →  help
 Attempt(試みる)      →  try
 Concerning(~に関して)   → about
 Furnish(供給する)     → provide, supply, give
 Inform(通知する)      →  say, tell
 Inquire(問い合わせる)   →  ask
 Observe(観察する)     →  see
 Obtain(得る)       →  get
 Operate(操作する)     → run
 Perform(行う)       → do, carry out
 Permit(許可する)    → let
 Regarding(~に関して)  → about
 Reject(却下する)     → turn down
 Request(要請する)   → ask
 Submit(提出する)    → turu in, send
 Therefore(それゆえ)   → so


 【問題点3】Andやbutなどの接続詞で文はつながっているのだが、論理が飛躍
 していて、文と文のつながりが分からない。

 論理の飛躍は本人が気がつかないうちに発生しています。日本人同士であれば
 その真意を推し量ることができることがありますが、外国人は「何を言いたい
 のか意味が分からない」ということになります。「全部説明しないといけない
 なんて面倒くさい」と思うかもしれません。しかし、異文化間のコミュニケー
 ションというものはそもそも面倒くさいものなのだと有元氏は言います。「面
 倒くさい」などと言っていたら、意思の伝達はできないし、英語はマスターで
 きないとも有元氏は言います。ルールを見てみましょう。


 ■ロジカルイングリッシュのルール3 butを乱用しない

 Butは逆説の意味があるときにしか使えません。
 以下の英文はbut節が前の節に対してどう逆説なのかが不明確です。

 My allergy was not bad last year, 
 but I just started suffering from it.
 (去年、花粉症はひどくなかったが、すでに苦しみ始めた)

 上の文章はロジックがワンクッション欠落しているから逆説の関係が不明確で
 違和感が生じています。But節でつなげるためには、逆説であることを明確に
 する必要があるため、「去年は~だったが、(それに反して)今年は~」という
 形にする必要があります。
 My allegies weren’t bad last year, 
 but this year they have already started.
 (去年、花粉症はひどくなかったが、今年は既に始まっている)

 それゆえに、I just started suffering from it. (ちょうど苦しみ始めた)と
 いうことになります。

 いかがでしたでしょうか?
 英文法は中学・高校で学んだレベルで十分だと有元氏は指摘します。ある程度
 以上に英語が上達するには、ちょっと違った角度からの英語コミュニケーショ
 ン法を身につける必要があるのだそうです。みなさんも今日からロジカルイン
 グリッシュを学んでみませんか?


 ◆ソース◆
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 『ロジカルイングリッシュ』(ダイヤモンド社)
 http://www.amazon.co.jp/dp/447806394X
 pp.2‐7、14‐19、26‐27
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