※本メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、
 本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。

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 8月24日(月)夜、実践ビジネス英語講座(PEGL)では、リスニング力をテーマに、
 大正大学・大学院教授の西蔭浩子氏を迎え、夏の強化セミナー【英語のお医者
 さんによる6つのリスニング処方箋 ~リアル講義×ワークショップで「読め
 るけど聴けない病」を治す!~】を開催しました。平日にもかかわらず、仕事
 帰りに駆けつけたビジネスパーソン約50人が参加しました。

 冒頭、西蔭氏が「リスニングに対して苦手意識がある人はどれくらいいますか?」
 と参加者に挙手をしてもらったところ、50人の参加者のほとんどの手が一斉に
 挙がりました。みなさん似たような苦手意識を持っているのだなと改めて実感
 するとともに「このセミナーで、リスニングの何がしかのコツをつかんで帰り
 たい」という参加者の真剣さが伝わってきました。


 ■英語を聞き取れないのは日本人特有の“持病”のせい

 それではさっそく早速、当日のセミナーの様子をご紹介しましょう。
 「聴けない病」に対する治療に入る前のウォーミングアップとして「なぜ英語
 が聞き取れないのか?」という3つの理由(1)~(3)を西蔭氏が教えてく
 れました。日本人は以下のような3つの特有の“持病”を持っているというわ
 けです。

 (1)見る英語と聞く英語が違うということを認識できていない病

 以下の<1>~<7>は実は誰でも知っている英語で、英語の綴りを見れば、
 意味はすぐに分かります。ところが、聞いたときには、<1>~<7>のよう
 な音に聞こえてしまい、聞いただけでは綴りがイメージできない意味不明の英
 語になってしまいます。だから、リスニングに自信をなくしてしまうのですね。
 セミナーでは、<1>~<7>と聞こえる英語が、実は何と言っているのかを、
 西蔭氏が参加者に質問して、参加者が回答する双方向形式で進行しました。
 セミナーでは参加者全員で声に出して読んでみました。そのほうが該当する英
 語がイメージしやすくなります。

 みなさんも挑戦してみてください。答えは、コラムの文末に書いておきます。

 <1> ハンズレ
 <2> モーザ
 <3> チリレン
 <4> 揚げ豆腐
 <5> 掘ったいもいじるな
 <6> 割っちゃう
 <7> パラシュート

 (2)外来語のカタカナ表記の発音が一人歩きしている病

 以下の<1>~<5>は日常的に目にする外来語のカタカナ表記です。英語が
 由来の源なので、カタカナ通りに英語でも発音されるものだと我々日本人は錯
 覚してしまいがちです。外来語のカタカナ表記はあくまで便宜的なものであっ 
 て、英語の発音とは全くの別モノであると割り切って考えなければなりません。
 本来の英語の発音から逸脱して、外来語のカタカナ表記が一人歩きしていると
 思ったほうが間違いないのかもしれません。典型的な例として西蔭氏が例にあ
 げたのが、次のような外来語のカタカナ表記です。

 <1> オレンジジュース
 <2> ミルク
 <3> バニラ
 <4> マクドナルド
 <5> ホットドッグ

 (3)英語のリズムに乗れない病

 西蔭氏から次に教わったのが下の3つの英文<1>~<3>の読み方です。SVO
 の文型の文章です。日本語を読むときには平坦なリズムですが、英語ではリズ
 ムが重要なのですね。西蔭氏が3回手を叩くリズムで<1>~<3>の文章を
 読む練習を参加者全員で声を出して行いました。日本的なリズムだと単語ごと
 に1拍のリズムで読むため、<1>を3拍、<2>を5拍、<3>を7~8拍と
 いった具合にそれぞれ違うリズムで読むのではないでしょうか?ところが英語
 だと<1>~<3>をいずれも3拍の全く同じリズムで読みます。

 <1> Teachers     like            students.
 <2> Teachers should like     their students.
 <3> Teachers should like some of their students.

 さらに、下の<1>~<6>の英文をどれも同じ4拍のリズムで読むことも西
 蔭先生から教わって、声に出して読む練習を参加者全員で行いました。リズム
 を活字で再現するのは難しいのですが西蔭氏の代わりにYoutubeで外国人の幼稚
 園児が見事なリズムで下の文章を読んでいるのを見つけましたので、Youtubeで
 リズムを実際に見てください。

 【資料】https://www.youtube.com/watch?v=2zHDCqT5IuU

 <1> One, two, three, four, 
 <2> Come in, please, and shut the door.
 <3> Five, six, seven, eight,
 <4> It's time for school; you're very late.
 <5> Nine, ten, nine, ten,
 <6> Don't be late for school again.


 ■音アレルギーを克服するための処方箋とは?

 上で見たように、日本人は3つの“持病”を持っているわけですが、それらの
 持病は克服できるというのが西蔭氏の見方です。英語の聞き取りにくさに対す
 る“傾向と対策”をセミナーでは西蔭氏が具体的に教えてくれました。西蔭氏
 の命名ではウイルスとワクチンですが、ここでは傾向と対策という呼び方で、
 その例を紹介します。 

 【傾向1】音がつながっているから聞き取れない。前と後ろの単語がくっつい
 て聞こえ、1語のように聞こえる。
 《例》Check outは「チェッカゥトゥ」
 【対策1】リスニング脳を鍛える「足し算トレーニング」というものを行いま
 した。具体的には、[k]+ア=カのような「子音+母音」のパターンが数多く
 あるので、その音を声に出して発音する練習を行いました。

 【傾向2】音が脱落するから聞き取れない。同じ子音や似た子音は前の子音が
 発音されず、間が生まれる。
 《例》get togetherは「ゲ・トゥギャザー」
 【対策2】リスニング脳を鍛える「引き算トレーニング」というものを行いま
 した。具体的には[t]-[t]=tのような「子音-子音」のパターンが数多く
 あるので、その音を声に出して発音する練習を行いました。

 【傾向3】音が変わるから聞き取れない。youは前の音の影響を受けて音が変わ
 る。
 《例》Thank youは「タンキュ」、miss youは「ミシュ」
 【対策3】リスニング脳を鍛える「掛け算トレーニング」を行いました。
 具体的には[k]×you、[s]×youのような子音×youのパターンが数多くあ
 るので、その音を声に出して発音する練習を行いました。

 【傾向4】音が短くなるから聞き取れない。読むと二つの単語でも、発音され
 るとつながって短くなる。
 《例》I amは短くなってI’m「アイム」

 【傾向5】音が弱くなるから聞き取れない。意味のある情報をあまり持たない
 単語は、弱く、速く、あいまいに発音される。
 《例》know himは「ノウイム」

 【傾向6】音が柔らかくなるから聞き取れない。母音に挟まれたtの音は柔らか
 くなって日本語の「ラ行」の音に聞こえる
 《例》waterは「ワラー」
 
 セミナー全体の復習問題として、ネイティブスピーカーが下のような文章を読み
 あげた音声を聞き、下の例文のカッコの中に入る語句を埋める(下の例文の場合
 「think of」)という小テストを26問ほど行いました。

 【例文】Let me know if you (   ) a better idea.

 「簡単」と思いきや、26問も続くと、集中力が続かずに、意外と正確に聞き取れ
 ていないものだということがわかりました。

 セミナーの最後には活発な質疑応答が行われ、盛況のうちに終わりました。アン
 ケートの結果も大変評価が高かったので、参加者のみなさんが何がしかのヒント
 を得ることができた有意義なセミナーだったと思います。PEGLでは今後もこのよ
 うな英語学習に関するセミナーを実施してまいりますので、お楽しみに!

 【冒頭の問題の答え】
 <1> ハンズレ=hundred
 <2> モーザ=mother
 <3> チリレン=children
 <4> 揚げ豆腐=I get off
 <5> 掘ったいもいじるな=What time is it now?
 <6> 割っちゃう=watch out
 <7> パラシュート=a pair of shoes