※本メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、
 本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。

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┃ ┃ 『実践ビジネス英語講座』 メールマガジン      
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┃    グローバルリーダーへの道          2015/11/26 配信
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 長年ビジネスに携わってきたつもりでも、ビジネス英語や商習慣に関して実は
 「勘違いや間違った思い込みのままだった」という経験はありませんでしょう
 か。ある時にひょんなことからそれに気がつくと、大変恥じ入る思いをします。
 『英語のお手本』(朝日新聞出版)では、日本人ビジネスパーソンが間違えて理
 解したままになっていやすいとされる、ビジネス英語や商習慣の例を紹介して
 います。著者のマヤ・バーダマン氏はゴールドマン・サックスで勤務した経験
 から「外資系企業入社1年目のビジネスパーソン向け教科書」という位置づけ
 で同書を執筆しました。以下はメルマガ著者自身が、同書を読んでいて
 「ハッ!」「ヒヤッ!」と恥じ入った思いをした箇所です。皆さんはいかが
 でしょうか?

 (1)英語の肩書き(タイトル)
 外資系金融機関の肩書きの一例です。皆さんに、英語の肩書きに関する問題を
 二つ出してみたいと思います。第1問です。

 【第1問】
 「アナリスト(Analyst)」と「アソシエイト(Associate)」ではどちらのポジシ
 ョンの方が、階層が高いでしょうか?

 【第1問の回答】
 同書によると、昇進の順番は「アナリスト(Analyst)→アソシエイト(Associate
 )」です。「アソシエイト(Associate)」は日本語だと「準」や「准」や「副」
 がつく肩書きの形容詞に使われることが多いです。例えば、教授に対して昇進
 一歩手前の准教授のことを英語で「Associate Professor」と言いますし、正会
 員に対して準会員のことを英語で「Associate Member」と言いますし、学長に
 対して副学長、副総長のことを「Associate Chancellor」と言います。

 メルマガ筆者は、昇進の順番は「Associate → Analyst」とばっかりに勘違い
 していました。実際、日本の大手総合商社の関連会社のコンサルティング会社
 でも、コンサルタントの補助職の人間の肩書きが「『Assistant』では対外的に
 格好がつかない」という理由で「Associate」という肩書きをつけていた例をメ
 ルマガ著者は知っていますので、誤用があるのではないかと思います。

 それでは、肩書きの英語に関する次の問題を出してみたいと思います。

 【第2問】
 ヴァイス・プレジデント(Vice President)とマネージング・ディレクターでは
 (Managing Director)ではどちらのポジションのほうが高いでしょうか?

 【第2問の回答】
 同書によると、昇進の順番はヴァイス・プレジデント(Vice President=VP)→
 マネージング・ディレクター(Managing director=MD)です。ヴァイス・プレジ
 デントと言うと、社長(President)に対して「副社長」のイメージがあるのです
 が、「VP」は日本で言うところの中間管理職のタイトルです。どおりで、名刺
 を交換した外国人ビジネスマンの肩書きを見るとこの人もあの人もVPの肩書き
 を持っていて、副社長がずいぶんと大人数いる組織だと思ったものです。それ
 に対して、マネージング・ディレクター(Managing Director)は、執行役員など、
 経営陣に近く、従業員の中で最も高いポジションのタイトルです。

 (2)顧客や取引先への贈り物
 12月になると、本格的にお歳暮シーズンに入ります。日本ですと、みなさんの
 組織でも、顧客や取引先などにお歳暮を贈ったり、挨拶に行く時にお菓子の詰
 め合わせなどの手土産を持参する商習慣があるのではないでしょうか。逆に職
 場で、来客が置いていった手土産のお菓子の御相伴に預かることもあります。
 長年のあまりにも当たり前な職場風景すぎて、今まであまり気にも止める機会
 すらありませんでした。しかし、よく考えてみると、海外でも日本同様の商習
 慣はあるのか?という疑問がわいてきます。

 同書によると、例え、贈り物が茶菓子の詰め合わせであっても、賄賂と思われ
 る可能性があります。特に、取引の約束をしていないのに贈り物を渡すと、そ
 れで仕事を得ようとしているなどの下心があると捉えられるのだそうです。ま
 た、何かを依頼するときに贈り物をする商習慣が日本にはありますが、それは
 「依頼を引き受けることを当然のように思っている」ようにも捉えられかねま
 せん。それによって、相手を断りにくい立場に置かせてしまうことがあるわけ
 ですが、確かに、贈る側に下心が全くないと言えばそれは嘘になるのは事実で
 すね。

 そうした賄賂となる可能性を排除するため、欧米では、お世話になった人や仕
 事関係の人、顧客や取引先に対してお中元やお歳暮を贈る商習慣がないのだと
 同書は述べています。著者のボーダマン氏の知る限りでは、外資系企業では日
 本とは違い、お中元やお歳暮などの商習慣はなかったと言います。厳しくなり
 つつあるコンプライアンス違反の問題にもなりかねないので、海外にある本社
 から日本支社に対しても厳しく禁止している外資系企業もあるのだとボーダマ
 ン氏は言います。改めて組織のルールやポリシーをよく確認する必要がありま
 すね。

 いかがでしたでしょうか。
 メルマガ筆者は以前、知人から大企業の「Managing Director」の名刺をもらっ
 たことがあるのですが、その名刺には「執行役員」の日本語が入っていなかっ
 たので取締役の一歩手前の役職名ということにその時は気がつきませんでした。
 英語の「Managing Director」と日本語の「執行役員」とでは、肩書きの重みに
 対する印象が全然違うものですね。わざわざその名刺をもらった時に、知人の
 昇進を賞賛してあげられなかったのが今さらながらとても悔やまれます。

 ビジネスの実践を通して得た知識や経験は大事なのですが、いつの間にか独り
 よがりな理解になっていることがあると思います。頭の中でモヤモヤとしてい
 ても「今さら人に聞けない」ということもあります。そうした場合でも、勘違
 いや誤った思い込みをなかなか修正する機会が持てませんよね。

 皆さんはご自分の思い違いに気がついた経験をお持ちですか?
 そんな時、あやふやだった知識をどのようにして修正していますか?

 ◆ソース◆
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 『英語のお手本』(朝日新聞出版)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4023314102
 pp.102、162、165
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