※本メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、
 本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。
 
■━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
┃ ┃ 『実践ビジネス英語講座』 メールマガジン      
┣━┛ 
┃    グローバルリーダーへの道          2015/12/03 配信
┃                   ★クリスマスキャンペーン実施中★
┃                   『実践ビジネス英語講座』1月期生
┃                    今なら「受講料最大21%オフ」!
┃                   ∟ http://goo.gl/pfI2o1
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

 みなさんは、ビジネス交渉する際、交渉の仕掛けとして「秘密情報」や「ここ
 だけの話」、「とっておきの話」を自分が握っているということを思わせぶり
 に相手へ伝えたいと思うことはないでしょうか?そのような時、英語ではどの
 ように話を切り出すのか、考えたことはありますか?今号のメールでは『駆け
 引きを有利に進めるビジネス英語』(三修社)から、ちょっともったいをつけて、
 ささやくように「秘密情報」を切り出し、相手の心を動かす英語表現テクニッ
 クを学びましょう。密室でこそこそささやくというデリケートな状況下での英
 語なので、学校ではなかなか教えてもらえない言い回しだと思います。自分が
 話を持ちかけられる立場にまわったときにも、独特の遠まわし表現なので、咄
 嗟に意味が分かるようにしておく必要があります。

 「秘密情報」とくれば、そのものズバリの英語secretを使いたくなりますが、

 I am proposing a secret deal.
 (秘密取り引きを提案したい)

 と相手に持ちかけると、相手は「ヤバイ非合法的な取引を持ちかけられるので
 はないか?」と受け取って警戒してしまうのだと、同書は言います。米国では
 厳しい「Fair Trade Act(公正取引法)」が存在し、またfair play精神を重視す
 るので、相手に対して後ろめたいという心理的な負担を与えてしまいがちなた
 め、secretという直接的な英語を使わずに、上手な遠まわしの英語表現で相手
 にスマートに話を持ちかけ、相手の背中を押して意思決定してもらう必要があ
 るのだそうです。

 そして、逆に話を持ちかけられ時は、言われた通り秘密を守らないと相手との
 信頼関係が維持できなくなります。

 それでは、さっそくシーン別に具体的な英語表現を学んでみましょう。

 (1)秘密情報であることを前置きしたい場合
 例えば、あともう少し値引きすれば交渉が成立しそうなビジネスシーンがある
 とします。率直に値引き幅だけを提示するのでは芸(交渉テクニック)がなさす
 ぎではないでしょうか。だからと言って、このような状況下において、下記の
 ような直訳的な表現も避けるべきだと同書はアドバイスしています。

 I am telling you a confidential information.
 (秘密情報をお教えしましょう)

 上記の表現は大げさすぎるのと、持ちかけられる相手に後ろめたい罪悪感を与
 える恐れがあると同書は指摘します。

 そこで、以下のような前置きなら、相手も素直に受け取ってくれるのだと同書
 は言います。

 (This is) Just between you and me.
 The words would not leave this room, OK?
 The story stays in this room.
 This story will never leave this room, OK?
 (誰にも言わないでくださいよ/ここだけの話ですよ)

 少しキザに言うなら、以下のような表現もあります。

 I'll tell you this on the q.t.

 q.t.はquietの省略形で、「ささやくように秘密裏に話す」の俗語表現です。
 さらにラテン語を使ってもっとキザに言うなら、以下のような英語表現になり
 ます。

 I'll give you this information sub rosa.

 sub rosaはラテン語表現です。意味はunder the roseで、その昔、秘密はバラ
 の花の陰でささやかれていたところから来ている表現です。

 あるいは、映画『007』のタイトルで有名な“For Your Eyes Only”(極秘、読
 後破棄)を文字ってeyesをearsに置き換え、下記のように表現するのもキザです
 ね。

 This is for your ears only.
 (あなたの耳にだけ入れておきます/秘密でお願いします)

 (2)情報源を秘匿したい場合
 オフレコではなく内容自体は公表あるいは他の人に話してもOKだけれども、
 「誰が漏らしたか(リークしたか)」という情報源を明らかにして欲しくない場
 合もあります。日本語では情報源を明らかにしない場合を「匿名情報」と言い
 ますが、英語表現ではanonymously(匿名で)を使って以下のように言います。
 脱線しますが、あの仮面で有名な国際的ハッカー集団の「アノニマス」も、英
 語で「匿名」という意味なのですね。

 I'll tell you this anonymously.
 This is an anonymous tip.
 (匿名条件での話ですよ/匿名情報ですよ)

 You may quote me anonymously. The board of directors of my company has 
 unanimously agreed on 10% price hike.
 (私の名前を伏せることを条件として話すのだが、当社の取締役会は全会一致で
 10%の値上げを決定した)

 Please don’t quote me on this, but I am at liberty to give you another 
 100USD discount. This is for your ears only, OK?)
 (私が言ったということは漏らさないで欲しいのだが、実は私の権限でもう100
 米ドル値引きしてもいいですよ。他言無用でお願いします)

 なお、話を持ちかけられたら、答えとしては、例えば、以下のようになります。

 Sure, my lips are sealed. You have my word.
 (もちろん、口外しません。約束します)

 いかがでしたでしょうか。
 同書の著者の法島由昭氏はネイティブを相手に1日平均10件以上、2万回のビジ
 ネス交渉をこなした元・住友商事の商社マンです。学校の先生に教えてもらっ
 た知識ではなく、著者が延べ14年間、滞在20カ国以上を数える駐在員時代の豊
 富な体験から得た異文化世界で生き抜くためのstreet-smarts(自ら実社会で
 の体験を通して学び取った「目端が利いた賢明さ」)だと言います。
 みなさんは、法島氏のように英語でビジネス交渉を前に進めるための“仕掛け”
 や“決め台詞”を持っていますか?


 ◆ソース◆
 ============================================
 『駆け引きを有利に進めるビジネス英語』(三修社)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4384055277/
 pp.3、114-117
 ============================================