※本メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、

 本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。

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┃ ┃ 『実践ビジネス英語講座』 メールマガジン     
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┃    グローバルリーダーへの道          2016/11/03 配信
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 今号のメルマガは、釈明や謝罪の仕方についてです。アップル・ジャパン
 の元社長の山元賢治氏が、日本法人のトップとしてどのように修羅場をく
 ぐりぬけてきたかを、書籍『世界でたたかう英語』(ディスカヴァー・ト
 ウェンティワン)の中から紹介します。同書のユニークな点は、山元氏の
 英語(自称「ポンコツ英語」)に対して、バイリンガルの小西麻亜耶氏が
 「本物の英語表現」を解説しているところです。「ポンコツ英語」と言っ
 ても山元氏の謙遜で、「山元さんの英語はある意味すごい、完全でない英
 語で、外国人を笑わせたり、感動させたりしている」とバイリンガルの小
 西氏を唸らせる英語です。さっそく、山元氏の英語を実際に行われたビジ
 ネスシーンごとにみてみましょう。


 ◆シーン1:山元氏が自身のパフォーマンス・レビューで目標未達を認める

 「前四半期のビジネス・ターゲットを達成できなかった」という事実に対
 して山元氏(Kenji)が当時COOだったティム・クック氏(現・CEO)に率直
 に謝っている場面です。厳しい目標設定だったとはいえ、達成できなかっ
 たことに対して潔く率直に謝るシーンです。

 Kenji: I feel so sorry we couldn't achieve the business goal in 
 the last quarter.
 (前四半期で、ビジネス目標を達成できずに申し訳ありません)

 The target was not easy number, but we committed. 
 (目標そのものも容易に達成できる低い数字ではなかったのですが、我々
 が約束した数字だったので言い訳のしようもありません)

 I want to continue to set this level of high target for Japan, and
 encourage my team to challenge it.
 (今期以降も引き続き、日本は達成が困難な厳しいゴールを設定し続けてい
 きたいと考えています。それをもってメンバーを鼓舞していきたいです)

 We've been growing continuously, and I believe we can achieve the 
 aggressive target very soon. 
 (我々は継続して成長を続けており、まもなくハードルの高い目標も達成で
 きると思います)

 I summarize our action plan to achieve it in this quarter and report
 it to you next Monday.
 (今四半期のアクションプランをまとめて、来週の月曜日に報告します)

 ◆小西氏の解説:
 出だしのところですが、率直に謝ってしまっているのは潔くて「日本男児ら
 しい」と小西氏は言いますが、そんな山元氏の姿を米国人に対しても誤解な
 く理解してもらうように、以下のように修正を加えています。

 I can only apologize regarding the business results. I don't have 
 any excuse for it. The target was not an easy one, but it's something 
 we committed to.

 山元氏が使った出だしの“I feel so sorry”は弱みを見せる表現であり、
 また交渉相手によっては批判材料を提供してしまうことにもなりかねないの
 で、ビジネスの場ではあまり使わないのだと小西氏は言います。

 また、“we couldn't achieve the business goal”というビジネス目標に
 達成できなかったという事実に対し、その旨をはっきりと伝えるのではなく
 端的に”I can only apologize regarding the business results.”と表現
 するのが良いのだと小西氏は言います。

 日本人としては謝罪することが当然の場面においても、インターナショナル
 な場で発言する際には、常に強気な姿勢で臨むべきだと小西氏は指摘します。
 国や文化によっては、謝罪をどのように捉えるかわからないからです。


 ◆シーン2:山元氏、取引先会社社長に詫びを入れる

 山元氏の部下に直接、自分を売り込んできた外部派遣のコンサルタントがい
 ました。その売り込みを受けて、外部派遣会社を通さずそのコンサルタント
 と直接契約する口約束をしてしまった部下がいました。外部派遣会社(イン
 ド国籍の会社です)の社長にもそのことが知れ、激怒していることが分かり
 ました。さっそく、先方の会社を山元氏が訪問して、お詫びするシーンです。

 Kenji: I'm sorry, it is my fault in educating my managers. I want 
 to commit you that I personally spend more time to educate my team 
 not to do unfair trade like this. I hope we can continue to work.
 together as the good partner.
  (誠に申し訳ございません。私の教育が至らずご迷惑をおかけしました。
 今後は部下への教育を徹底し、二度と同様の問題を起こさないことをお約束
 します。今後も良好なパートナー関係を継続できるようお願いいたします。)

 ◆小西氏の解説:
 出だしの謝罪ですが、“I'm sorry”よりは“apologize”を使って“I must
 apologize to you regarding my fault in educating my managers.”という
 表現のほうが誠意が伝わると小西氏は言います。他にも下記の表現が使えます。

 Let me apologize
 I owe you an apologize

 “sorry”には「申し訳ない」「すまない」以外の意味として「気の毒に思う」
 「残念に思う」という意味も含みます。これを交渉相手によっては軽い謝罪に
 受け止めてしまう可能性があるので気をつけなければならないのだと小西氏は
 言います。

 いかがでしたでしょうか。
 アップル社内で起きている生々しい出来事を垣間見れるのも興味深いですね。
 ところで、前号のメルマガで紹介した岩瀬晃氏のブログにも “apologize”と
 “sorry”の使い分けについての解説が載っていました(下の◆ソース◆のURL
 参照)。“apologize”は、明らかに自分のせいで誰かに被害を及ぼしたような
 場合に謝罪する時に使い、“sorry”は相手に共感や同情を示す場合に使うと
 あります。“sorry”は責任の所在がはっきりしない不可抗力の場合にも使え
 るのが大きな違いなのですね。みなさんは両者を正しく使い分けていましたか?


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 ◆ソース◆
 『世界でたたかう英語』(ディスカヴァー・トウェンティワン)
 https://www.amazon.co.jp/dp/4799311999/
 pp.92‐95、156‐159

 “I'm sorry”は「ごめんなさい」ではありません(岩瀬晃氏のブログ)
 http://iwaseakira.jp/archives/1089
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