※本メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、

 本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。

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┃ ┃ 『実践ビジネス英語講座』 メールマガジン     
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┃    グローバルリーダーへの道          2017/05/11 配信
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 今号のメルマガは、自分の強みを生かせるキャリアを築ける「場」を見つ
 けているか――ということについてです。ビジネスパーソン一人ひとりの
 キャリアを考えるうえで、同僚たちと同じようなやり方でベストを狙うよ
 りもその人にしかできない「ユニークさ」を求めるほうが有効であると、
 書籍『グローバルキャリア―ユニークな自分のみつけ方』(東洋経済新報
 社)の中で著者の石倉洋子氏はおもに20代、30代向けにアドバイスしてい
 ます。本メルマガの読者の皆さんは、そんな年代の若手社員を新規及び中
 途採用する立場の方も多いかもしれません。そんな方々は、皆さんが若手
 社員だった頃を思い返しながら、以下を振り返ってみてください。

 これまで、多くの日本企業に見られた若手人材に対する要件は、次のよう
 なものだったと石倉氏は言います。

 (1)企業に入る前に、あまり色が付いていないほうがよい
    個性や持っている知識・技術が特殊で、自己を確立してしまってい
    る人よりも、強い個性、クセがなく、入社してから、その企業向け
    に教育訓練できる、その企業にふさわしいユニークさを開発できる
    人がよい。
 (2)ポテンシャルが高く、平均的な「できる人」がよい
    ある点では突出しているが、ほかの点で劣っている人、ユニークな
    力や特色を持っているけれども、バランスが悪い人よりも、平均的
    な優等生がよい。中庸がよく、同時にポテンシャルの高さが感じら
    れる人材がよい。
 (3)入社直後から一家言持つような「生意気」で、明確な希望を持つ人
    ではなく、まず下積みをする準備がある人がよい
    新入社員は同期生と横一線、同じように下積みの仕事をするべきで
    ある。若く、組織に入って間がないのに、他と違う意見を出したり、
    新しい提案をしたりするのは「生意気」である。

 みなさんは、(1)~(3)のような要件に合致するでしょうか?それと
 も、要件からは逸脱しているでしょうか?あるいは、20代、30代の時の自
 分を振り返ってどうでしょうか?

 仕事やキャリアは、皆さんにとって、自分の好きなことや得意なことを追
 究する対象であり、人生において、起きている時間の大きな部分を過ごす
 活動です。自分に対する自信の拠り所となるものでもあります。(1)~
 (3)のような要件から逸脱している場合に難しいのは、独りよがりで自
 分勝手な考えで「ユニークだから良い」と思っていても、それを生かす
 「場」が存在しないと、仕事としては成り立たないことでしょう。仕事と
 して生計を立てるためには、ユニークな自分の業務経歴を評価してくれる
 市場(要するに買ってくれる人や組織)が存在するか、そこで明確な成果が
 出せるかが重要であるというわけです。

 「自分らしさ」「ほかと違うユニークさ」というと、単に周囲の人間と比
 べて尖っていれば良いと誤解されることがありますが、「ただ尖っている」
 というだけでは、雇用や仕事には必ずしも結びつくとは限りません。独自
 の基準で「お客様に新たな価値を提供している」と信じていても、そう思
 っているのが自分だけでは仕事にはできないということです。その価値を
 見出し、評価してくれる人や組織が必要なのです。「自分を信じている」
 という自信を持つことは重要ですが、自分だけが信じているユニークさで
 は、キャリアの基盤として活用することは難しくなります。

 自分の持つ武器(供給サイド)とそれを必要とする顧客・市場(需要サイド)
 とのマッチング、供給と需要の間に橋をかけること、自分の得意技によっ
 て生計を立てることができるキャリアを築ける「場」が必要なのです。

 いかがでしたでしょうか。
 SMAPの歌に「世界にひとつだけの花」というのがあり、その歌の中で出て
 くる「NO.1にならなくてもいい、もともと特別なOnly one」という一節が
 あります。石倉氏が指摘する「ベストよりも、ユニークさ」からは上の歌
 の一節を想起させられます。SMAPほどファンに高く評価されたグループで
 あっても、所属する事務所(「場」)からの評価が芳しくないとグループ解
 散の憂き目に会うことがあります。SMAPは事務所の中でおそらく“ユニー
 クな”存在なのだったのだろうと想像します。

 組織の体質が今はまだ古いが「ほかと違うユニークさをいずれ受け入れる
 ように懐が深くなる」と言われて久しいのですが、組織の体質が変わるに
 はまだまだ時間がかかると考える慎重さも大事です。「自分が所属してい
 る間にはいつか変わるだろう」という楽観的な見通しではなく、組織の中
 で浮いたまま時間が過ぎてゆくことのないように気をつけなければいけな
 いというのが自称「ユニークな」メルマガ筆者が自分を振り返って得てい
 る教訓です。皆さんは、自分の「ユニークさ」を組織の中でどのようにう
 まく表現していますか?

 ◆ソース◆
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 『グローバルキャリア ― ユニークな自分のみつけ方』(東洋経済新報社)
 https://www.amazon.co.jp/dp/4492532846
 pp.33‐34、56‐57
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