本メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、

 本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。

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今号のメルマガは、英語の表現に潜む異文化的な背景についてです。
英語と日本語の言い回しの違いが、お互いの文化的な違いに
起因していることがあります。そのため、日本語を直訳しても、
英語の言い回しとは異なってしまうことがあります。書籍『本気で
英語を話したいあなたのための“英語筋”トレーニング』(サンライズ
パブリッシング)の中で、英語の表現に潜む異文化的な背景について
触れています。

◆レストランで予約するのは「席」それとも「テーブル」?

例題で考えてみましょう。レストランを予約する場面を想像してみて
ください。

Q:「(レストランを)予約できますか?」と、レストランの予約受付
担当者に対して英語でどのように伝えますか?

パッと英語が思いつくでしょうか? 実際に使われる表現は
下のようになります。

A:I'd like to book(reserve) a table.

直訳すると「テーブルを予約したいのですが」になります。
同書が着目するのが「テーブルを予約する」という表現に対する
違和感です。

おそらく、日本人であれば、予約する対象は「テーブル」ではなく、
「レストラン(の客席)」あるいは「席」のほうがしっくり来るのでは
ないかと思います。日本では「何人分の席を確保する」という感覚が
浸透しています。それに対して英語圏では(席よりも)「食卓(テーブル)
を確保する」と意味合いが強いのだろうと同書は言います。

テーブルに関連する言い回しで
Can you set the table?
(食卓を用意して)

という表現にも同書は言及しています。家で、皿やナイフやフォークなどの
食器を用意するように誰かに伝えたり、レストランで店員にお願いしたり
するときの表現ですね。

レストランでは、使わないと思われる複数の種類のグラスやフォークや
ナイフがテーブルの上に綺麗に並べられているというのが英語圏の文化
ですね。注文した後で、使わないグラスやフォークやナイフを
ウエイターやウエイトレスが回収します。英語圏の人はレストランの
テーブルに一番の意識が向いているのかもしれません。

一方、日本人の場合は、寿司店のカウンター席もありますから、
「予約する」という言葉から無意識的に椅子を思い浮かべているかも
しれませんね。日本語の場合、「席を予約する」という言い方のほうが
「テーブルを予約する」という言い方のよりもしっくり来ます。
レストランを予約した時、テーブルの上に置いてあるプレートなのにも
かかわらず表示は「予約席」であって、「予約テーブル」という
プレートにはお目にかかったことがありません。

この感覚の違いは、簡単には埋めることは難しく、英語圏の文化で
長年生活してきた人でなければ“book a table”を感覚で理解するのは
難しいというのが同書の指摘です。

◆「私にあなたの話を聞かせて!」は“Please tell me your story!”か?

もう一つの例文を同書は紹介しています。

Q:「私にあなたの話を聞かせて!」と、英語でどのように伝えますか?

おそらく“Please tell me your story!”のようになると考えるのでは
ないでしょうか?しかし、実際は以下のようになるのだと同書は言います。

A:Do you want to tell me your story?

「なぜ疑問形になるのか?」「『あなたは私にあなたの話を聞かせたいか?』
というよりも、『私のほうがあなたの話を聞きたい』のだけれど?」と
いうのが日本人的な感覚で、上の英語は違和感がある言い回しです。
みなさんも、このような文化的な感覚の違いをなんとなく感じ取れる表現に
出会った経験があるかもしれませんね。

いかがでしたでしょうか。
メルマガ筆者は以前に中国語を語学学校で習っていたことがあり、
その時のことを思い出しました。ロールプレイで「中国語が上手ですね?」
という中国人の先生の問いかけに対してメルマガ筆者がストレートに
「ありがとうございます」と中国語で即答したら、それは「不正解」で
「いえいえ」と謙遜して答えるようにとの指摘を受けたことがあります。
日本と同じで、褒められても謙遜して答えるのが「正解」な場面でした。

みなさんは、英語や外国語を使って話している時、文化的な違いを感じた
ことがありましたか?どのような場面で文化的な違いを感じましたか?
「目に見える異文化」以外にも、このような背景を感じ取りながら相手と
コミュニケーションを取ることは、ビジネスをする上でも重要だと
言えそうです。


◆ソース◆
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『本気で英語を話したいあなたのための“英語筋”トレーニング』
https://www.amazon.co.jp/dp/4434229354
pp.77-82
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