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今号のコラムは、「1文の中に複数の情報を盛り込むのが難しいときにどうするか」という問題についてです。状況に応じて、適切なセンテンスに組み立て、文章にするテクニックを書籍『英語を話せる人-勉強しても話せない人-たった1つの違い-』(青春出版社)から紹介します。同書の中では、この組み立てテクニックを「2フレーズ構築法」と呼んでいます。さっそく例文で具体的に見てみましょう。

【例文1】
「皇居は千代田区にあり、毎日たくさんの人が見物に来ます」ということを言いたいとします。

日本語のセンテンスとしては一つですが、この中には2つの情報が入っています。これを、2つの異なる文章に分解して英訳することができます。

【訳例1】
The Imperial Palace is in Chiyoda Ward.
A lot of tourists visit the Palace every day.

【訳例2】
The Imperial Palace is in Chiyoda Ward.
It is visited by a lot of tourists every day.

日本語の文章では、2つの情報は並列な関係です。ですから、接続詞andでつなぐことができますが、同書ではあえて接続詞andを使わないで、英訳しています。

【訳例1】の文では、2文目にthe Palace(定冠詞と固有名詞の一部)が含まれているため、the Palaceが1文目で言及している皇居を指していることは明らかです。つまりthe Palaceが2文をつないでいることになるので、“皇居つながり”の2文ということですね。

【訳例2】の文では、2文目のItがthe Imperial Palaceを指しています。ItはThe Palaceと置き換えても良いでしょう。接続詞がなくても、英語は代名詞や冠詞のおかげで、意味がつながるケースが多いのですね。では、ここでもう一つの例をあげます。

【例文2】
「ABC社からわが社の新製品に関するクレームがあった」

このような構造の文を英語にするのは、日本人は苦手なのだと同書では述べています。「ABC社から電話があった」と「新製品に関するクレームがあった」ということを同時二言おうとすると難しいのですが、2つの情報に分解してしまえば、何ということもない文章ですね。

There was a phone call from ABC Company.
It was a complaint about our new product.

これらの2つの文章では、2文目が1文目の説明になっています。2文目のItという指示代名詞は a phone callの内容だということを示しています。そのため、聞く方も2つの文章に関連があることが分かります。

複数の文章に分解するのは良いのですが、互いに関係のないセンテンス同士を並べるとわけが分からなくなります。そのような情報の出し方をする人が日本人は多いと同書は指摘します。

【悪い例1】
I need to e-mail my boss right away.
I wrote my report last night.

上司にe-mailを出すことと、昨夜レポートを書いたことは、内容的には関連のないバラバラのことです。つながりが見えません。下のような文であれば、意味が通じます。2文目のitが1文目のmy reportを受けており、論理的につながるわけです。

【良い例1】
I wrote my report last night.
I need to send it to my boss right away.

もう一つの例をあげます。

【例文3】
「妻が病気になったので、自分が娘を保育園まで送らなければならない」

これも2つの文章に分解できます。
【訳例1】
My wife is sick.
I need to take my daughter to daycare.

この場合は、2つの文章に文法的なつながりはありません。話の流れから、
I need to take my daughter to daycare because my wife is sick.
という意味であることが分かります。

いかがでしたでしょうか。
伝えたい情報が複数あるときは、いくつかの短い文章に分解することによって口に出すことがぐっと簡単なるのですね。話の流れに沿って、シンプルに文章を構成することを考えましょう。

まとめてみると次の4箇条になります。
(1)一つひとつのセンテンスは短くシンプルに。
(2)複数の情報を言いたいときは、2文以上に分解しよう。
(3)複数の文章に分解するときは、互いの関連性をよく考えよう。
(4)接続詞は、どうしても必要な時以外は省いても問題ない。

みなさんは、日ごろから「複数の事柄のまとめ方」をどのように工夫・実践していますか?

◆ソース◆
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『英語を話せる人-勉強しても話せない人-たった1つの違い-』
(青春出版社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4413230329
pp.66-71
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【記事提供元】実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-
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