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今号のメルマガは、朗読についてです。著書『英語は朗読でうまくなる!』(アルク)から紹介します。著者は元・NHKアナウンサーです。朗読によって「英語で伝える力」「表現力」が身につき、英語が聞き手に魅力的に届くようになると同書では述べています。

「音読が大事」というのはよく聞きます。朗読と音読はどう違うのでしょうか。音読は分からない単語の意味や発音を調べ、声に出して確認していく作業です。それに対して、朗読はページに横たわった文字を起き上がらせて、自分の声で聞き手の心まで届ける作業です。

朗読を練習するときには、英文に読み方の注意点などを書き込んで練習します。自分にとって分かりやすいマークを決めておくと良いでしょう。同書では、以下のような(1)~(9)の項目に対して、下線などの記号をつけています。メルマガでは、マークを付けることができないので、以下テキストで説明します。


◆英文に読み方の注意点を書き込むための朗読記号

(1)「間」
「間」は文章の意味で区切るための役割があります。聞き手の注意を引きつけたいときに「間」を使うのが効果的です。間は1種類ではありません。3種類ぐらいがあり、「短い間」「長い間」「たっぷり長い間」――というような感じです。

(2)『』キーワード
小説なら主人公の名前など、話のポイントとなる、大事にするべき言葉です。(ただし、必ずしも、強調して読むとは限りません)

(3)【】強調
声を変える、前後に「間」を取る、大きな声を出す、逆に、小さい声でささやく、などいろいろな方法で聞き手に印象づける箇所です。

(4)( )軽めにさらっと読む
仮にその部分がなくても、大意に影響がない語句や文です。それなら、なぜ軽めに読む箇所を存在させる理由があるのかというと、他をより目立たせるという効果があるからです。

(5)《1》、《2》列挙されている項目を読む
複数の事項が列挙されている箇所を意識しながら読みましょう。それぞれを同じ強さで読むことが大切です。番号を振っておくと分かりやすくなります。

(6)息継ぎ
息継ぎとは基本的に「間」を取る時に同時に行います。息が続かない場合は、この箇所で息継ぎしても良いでしょう。


(7)《 》ゆっくりハッキリ読む
文の終わりに余韻を持たせたいとき、また、内容をしっかり言い含めたいときなどに、ゆっくりはっきり読んでみましょう。

(8)〔 〕一語のように読む
意味のまとまりがあり、単語ごとに区切るのではなく、一語のように読んだほうが伝わりやすい箇所です。

(9)↑↓声のトーンを上げる、下げる
「明」と「暗」の対比を感じさせる語句がある場合には、トーンを上げたり下げたりして、そのイメージを表現します。


◆オバマ前・米大統領の広島演説を朗読してみる

2016年5月、現職の米大統領として初めて広島の被爆地を訪れたオバマ氏は、第二次世界大戦の犠牲者に哀悼の意を表す演説をしました。オバマ氏が大統領として広島で伝えたかったメッセージとは何でしょうか。スピーチ原稿を朗読するときは、まず、「何を伝えたいのか」が明確でなければなりません。

文末の◆ソース◆に、演説の動画(YouTube)のURLをリンクしています。
オバマ氏の演説をコピーすることが朗読練習のゴールではありません。あくまでも、自分がスピーチをする際に、説得力のある声で自分らしい表現ができるようになるようにするのが朗読の練習です。「自分ならこの演説をどう世界に伝えるか」を考えながら朗読を練習します。紙幅の都合上、冒頭の部分だけ紹介します。

スピーチ原文
〔《Seventy-one years ago》〕,短い間on 《a bright,〔cloudless morning〕》,短い間【『death』】 fell from the sky短い間and the world was changed.長い間〔A flash of light〕and a 〔wall of fire〕短い間destroyed a city短い間and demonstrated短い間that mankind possessed the means to destroy itself.たっぷり長い間

日本語訳
71年前、雲ひとつない明るい朝、空から死が舞い降り、世界は一変しました。閃光と炎の壁が町を破壊し、人類が自らを破滅させる手段を手にしたことを示しました。

朗読のポイント
スピーチの冒頭部分です。聴衆をいかに惹きつけるか。この最初の発声が非常に大切です。真摯な気持ちで丁寧にゆっくりと、落ち着いた声でagoまで一息で読み、1945年8月6日の原爆投下時に気持ちを
移行させていきます。

いかがでしたでしょうか。
オバマ氏の上記のスピーチは、メルマガの著者は見聞きした記憶がありますが、英語の意味を理解するのにやっとでした。今回改めて、同書を片手にYouTubeの動画を見てみると、特に「間」が強調されていることが印象的なスピーチであることに気がつきました(同書では冒頭部分だけでなく、全文を掲載して朗読する際のポイントを記号で解説しています)。「間」によって聞き手の注意を引いたり、「次に何が来るの?」と期待させる効果、考える時間を与える効果があるのですね。みなさんは、自分のスピーチをどのように魅力的に伝えますか?


◆ソース◆
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『『英語は朗読でうまくなる!』(アルク)
https://www.amazon.co.jp/dp/4757430280
pp.19、21、36

オバマ前・米大統領の広島演説
https://www.youtube.com/watch?v=R29ujZv7VBM
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【記事提供元】実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-
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