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今号のメルマガは、「グローバル・インテリジェンス(以下、本メルマガでは便宜的に「GI」と略します)についてです。書籍『世界で生きる力――自分を本当にグローバル化する4つのステップ』(英治出版)から紹介します。


◆IQでもEQでもないGIとは?

IQ(知能指数)やEQ(感情指数)はみなさんもご存知だと思いますが、同書によると、GIとは「人類を分かつ境界線を越えるべく、持てる機能のすべてを活用できる能力」のことを指します。最も簡潔かつ単刀直入に言えば、自分と異なる人々と共存し、共創することを可能にする人間の能力のことを指します。

GIは単なる概念ではなく、IQやEQと同様にテストの形で計測することが可能です。テストは複数の種類が存在しているようですが、最も高度なものの一つが「グローバル・マインドセット」リストと言われるものです。同書では、自分の今のGIを評価するために、このようなGIテストを受けてみることをすすめています。

「GIを向上させてグローバル人材になる」というのは具体的にはどういうことなのか、同書では世界で暮らす人々のシティズンシップを5段階のレベルで表現しています。本メルマガでは、基礎的なレベルの「シティズン1.0」から最高レベルの「シティズン5.0」まで順番に説明します。GIが低いとはどういうことなのか、GIが高いとはどういうことなのか、この5段階のシティズンのことなのではないかとメルマガ筆者は読み解きました。


◆世界で暮らす人々を5段階のレベルに分類すると?

(1)シティズン1.0=自分自身にさえ忠誠を持っていれば良いという段階自らの関心事にしか注意を向けない段階です。「自分」の利益にしか興味がないと言う意味で「自己中心主義」です。「自己中心主義」という言葉にはネガティブな意味合いが包含されてはいますが、この最も基本的な自分一人の関心、ニーズ、考え方に基づく市民的アイデンティティは必要だと同書では言います。もちろん、これだけでは不十分だと言えるでしょう。

(2)シティズン2.0=自己の利益と所属するグループ(氏族、部族、政党等)の利益との均衡を図る段階
このレベルでは、関心は個人からグループのアイデンティティへと移ります。何が「自分にとって」個人的に有益になるかだけを考えるのではなく、より大きく「自分たち」のことを考えるようになります。このグループアイデンティティは民族的、または部族的、あるいは何らかの「主義」(カトリック主義や共産主義、反共産主義など)によって体現されている場合があります。シティズン2.0は内戦や民族浄化、そして止めるものがなれれば大量虐殺まで引き起こすかもしれません。今日見られる戦争の多くが内戦であり、部族や人種、民族性、宗教、思想などによって分類された競合グループ同士の憎しみあいに根ざしています。

(3)シティズン3.0=自己とグループへの忠誠心よりも国家の利益を優先する段階
シティズン3.0は個人やグループとってのアイデンティティも包含していますが、その枠を超えて社会または国家全体に共感できるグループでもあります。この意識レベルの市民は、部族や政党、人種、宗教が異なっていても、自国のすべての市民の権利や利益を守ります。「ナショナリズム」を最大限に肯定化した言い方をすると、自己のアンデンティティの幅を広げ、同胞である他の市民をひとり残らず包含します。シティズン3.0の段階ではもちろん不十分で、国粋主義的な「自分たち」は他者である「彼ら」を悪者扱いして攻撃をしかけ、世界大戦を引き起こした過去があります。

(4)シティズン4.0=複数の段階に忠誠心を抱いている段階
シティズン4.0はナショナリズムの「枠組みから飛び出す」市民であるため、より幅広い市民の意識を表わしています。この世界観を身につけた指導者や市民を、一つ国家、宗教、思想、人種、民族グループで定義づけることはもはやできません。社会学者は「文化的交配」という言葉でこの現象を説明しています。

(5)シティズン5.0=地球と、生きとし生けるものすべてに対して忠誠心を抱いている段階
シティズン5.0は多文化の世界観を超越し、人類のみならず、すべての生命を視野に入れています。シティズン5.0は「多国籍」なのではなく「超国籍」です。彼らは人類という次元にとらわれず、人間を含むすべての生命の基礎が自然そのものだと認識しています。この段階への転換はしばしば宇宙飛行士に見られるといいます。宇宙飛行士が宇宙から地球を目撃したとき、地球の一体感という形容しがたい美と驚異にさらされたことが、彼らをこの超越した観点へ「超越」させるきっかけになることがあるようです。

いかがでしたでしょうか。
カナダで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)が6月9日に閉幕しました。通商政策を巡り米国と6カ国の意見対立が解消されないまま、かろうじて首脳宣言が採択されましたが、サミットを途中退席したトランプ米大統領が一転して「宣言を承認しない」としたことで、G7の結束を示そうとした各国の取り組みは台無しに終わりました。

今回のG7に限ったことではないのですが、トランプ大統領の通商政策の何が問題なのかと言えば、彼のIQやEQからくるものとはまた違うものではないのかと感じていました。同書を読み、GIが低いところが問題なのではないのかと思いあたるわけですが、皆さんは「GIが高い」「GIが低い」と感じる場面はありますか?


◆ソース◆
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『世界で生きる力――自分を本当にグローバル化する4つのステップ』
(英治出版)
https://www.amazon.co.jp/dp/4862760902/
pp.48-57、242-243
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【記事提供元】実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-
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