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今号のメルマガは、日本にとってのグローバリゼーションとは「日本独自のやり方で『道』を究めるか」、あるいは「妥協して世界の趨勢に合わせ、より大きな土俵での勝負に出るか」のトレードオフにあるという話です。書籍『グローバル・マインド 超一流の思考原理』(ダイヤモンド社)から紹介します。

著者はマッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、SAPジャパン代表取締役やルイ・ヴィトン・ジャパン・カンパニーCEOなどを歴任した藤井清孝氏です。藤井氏は、グローバリゼーションの本質の一つは「最大公約数」の推進だと述べています。例として、日本の国技である柔道と大相撲にみる、国際化の違いについて取り上げています。

◆「道」を究めるか、「最大公約数」の推進か

1964年の東京オリンピックで競技種目の一つに加わって以来、柔道は国際化しました。日本人古来の柔道には、「白い柔道着を着て小が大を倒す一本勝ちの美徳」のようなものがありました。ところがオリンピックを観戦すると、カラフルな柔道着、体重別による階級制、「有効」や「指導」のポイントを重ねての勝負など、「一本勝ちの美徳」にこだわる日本人の昔の感覚では、本来の柔道が目指している境地から離れている印象があると藤井氏は述べています。

柔道の例は、ゲーム、プレーヤーと同時にルールも国際化してしまうと、日本古来の明文化されていない精神は薄まり、世界各国の最大公約数のような、分かりやすいけれども、奥の深さが失われてしまうスポーツになる良い例だと藤井氏は言います。

それに比べて大相撲は、プレーヤーはモンゴルやジョージア出身の横綱や大関が幅を利かせて国際化する中、ルールは頑なに日本古来のものを守ろうとしています。「土俵に女性が上がってはいけない」伝統があることが分かり、議論を呼んだぐらい旧態依然とした形を守っています。横綱昇進基準の一つである「品格」などは、日本以外では理解されないだろうと藤井氏は述べています。親方制度に始まって、いろいろな儀式的な動作、立ち合いの仕切りの基準に至るまで、暗黙のルールが多く、海外でこれを再現するのは不可能に近いであろうと藤井氏は述べています。

この、柔道と大相撲の国際化のアプローチの違いは、日本人がグローバリゼーションの波にさらされている現在を考えるうえで、示唆に富んでいるのだと藤井氏は指摘します。

◆グローバル・スタンダードに合わせることはレベルを落とすこと?

「日本独自のやり方で『道』を究めるか」、あるいは「妥協して世界の趨勢に合わせ、より大きな土俵での勝負に出るか」をビジネス的に考えると、日本市場が伸びていない以上、後者の選択肢を取らざるを得ないことが多い状況に置かれています。

藤井氏は飲食業のエピソードを紹介しています。レストランのガイドブックの世界的な権威であるミシュラン・ガイドに掲載されたおかげで、「一見さんお断り」の老舗の料理店が、外国人も含めて急激にお客さんが増えたものの、マナーが悪く、昔からの馴染みのお客さんが来なくなってしまったと嘆いているというエピソードです。つまり、「グローバル化で市場は拡大したが、ルールが自分のコントロールできないところに行ってしまった」、というトレードオフの例だと藤井氏は言います。

英語の問題もこの図式にあてはまると言います。気心の知れた日本人同士で交わす日本語は大変洗練されています。いちいち言わなくてもわかる簡単な表現や、相手を慮る言葉、尊敬を表す敬語、四季を表す言葉など、日本語でないととてもニュアンスが伝わりません。また、日本人は言葉に頼りきらないコミュニケーション術を、長い年月をかけて磨き上げてきました。

それに対して、英語は多様な人たちの最低共通言語なのだと藤井氏は言います。上記のような細かなニュアンスのコミュニケーションの役割を英語に期待するのは、所詮無理な話というわけです。

それゆえに、藤井氏は、学校で英語を第二公用語にするようなアイデアに反対しています。日本語力を必ず低下させる弊害が現れると危惧し、日本人はまず日本語で、しっかりと人格や人間関係の軸を作る教育が不可欠と同書では主張しています。大多数の日本人にとって、英語はあくまで必要最小限の意思疎通を図るための言語だと割り切ったほうが良いという立場を藤井氏は取ります。

いかがでしたでしょうか。
日本人の良さとは何なのでしょう。改めて考えさせられます。グローバルに(英語もマインドも)遅れていることが嘆かれていると思いきや、片方では「日本人らしさ」を崩してしまうリスクが伴う場合もあるという藤井氏の主張です。

日本人としてのルーツを大事にしながらも取捨選択、臨機応変に対応できる人が真のグローバルリーダーに必要なスキルを持つことになるのでしょう。みなさんはどのように考えますか?

◆ソース◆
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『グローバル・マインド 超一流の思考原理』(ダイヤモンド社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478007659
pp.194‐197
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【記事提供元】実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-
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