新年第1号のメルマガは、大手広告会社の日本人ブランド専門家が教えてくれる、自分のブランディングについてです。日本人同士ですと、変な発言をして自分の名前をネガティブなイメージで記憶されてしまうくらいならば、何も発言せずに、名前も記憶されないほうがいいときもありますが、英語だとそれは通用しないという話です。書籍『マーケティング英語の教科書』(宣伝会議)から紹介します。著者はマッキャンエリクソンという世界最大級の外資系広告会社の日本支社で戦略本部の責任者を務める松浦良高氏です。
◆「あなたを夜寝かせないもの」は何か?
同書では「自信を持ったスピーカーになる」ことが重要だと記述しています。分かってはいるつもりなのですが、英語特有の質問の仕方というものが存在し、それを知らないと自信を持って答えることができません。日本人にはなじみのない質問の仕方の代表例をまず紹介したいと思います。
What keeps you up at night?
みなさんが英語のセミナーやパネルディスカッションで上記の質問をいきなりふられたら、どのような答えをしますか?
「英語のセミナーでやパネルディスカッションなどを聞いたことがある人は耳にしたことがあるかもしれない」と同書では述べていますが、このような質問の仕方があることを同書を読んで初めて知ったメルマガ筆者が上記のような質問を突然されたら、トンチンカンな答えをきっとしてしまうであろう問いかけです。
同書によると、上記はビジネスに関するインタビューなどで非常によく出てくる質問なのだそうです。文面上は「あなたを夜寝かせないものは何ですか?」という意味ですが、ここでは「仕事上、あなたを寝かせないほど気にさせる(心配させる)ことは何ですか?」ということです。要するに、「一番気になっていることは何ですか?」ということなのですが、「必ずと言って良いほど、そのような場面では上の聞き方をする」ということです。頭の片隅に入れておきましょう。
変化形として「この企業にとって、夜眠れなくなるほど心配なことは何でしょう?」であれば、以下のような言い方をします。
What keeps the company up at night?
◆自分の名前をどうブランディングするか?
同書の著者は名前がYOSHITAKA MATSUURAと長く、「(外国人には)絶対に覚えてもらえないし、覚えてもらえないのであれば意味がない」と考え、ある段階から英語名ではYOSHIということに統一しました。その結果、顕著に効果が感じられて、この数年は、YOSHIが会社グループ内外への認知向上にもかなり機能していると言います。
ここからが松浦氏の徹底しているところなのですが、名刺の英語もYOSHI MATSUURAに統一し、メールアドレスもyoshi.matsuura@に統一していると言います。自分も一つのブランドだと考えると、名前を覚えてもらうようにすることは大事なことなのだとブランドの専門家の松浦氏は言います。
ちなみに同書によると、楽天社長の三木谷浩史のニックネームは“Mickey”だということです。
◆グローバル会議に出席したら気を付ける3つのポイント
仕事をする中で、海外(あるいは日本)でのグローバル会議に出席することがみなさんはあると思います。そういった場に出る際にはどのようなことに気をつければよいのでしょうか?以下のような3つのポイントがあると松浦氏は言います。
(1)認知されて認められること
まず、みなさんがその場に参加していることを認知されないといけません。自己紹介や質問などで、自分のことを印象づける必要があります。基本的にはこういう会議はアピールする場でもあります。決して控えめに終わらないようにします。控えめにしていることは「存在していないのと同じ」と思われてしまいます。
例えば以下のような自己紹介です。
Hi. I'm Yoshi Matsuura and I'm from the Tokyo office.
(こんにちは。東京オフィスの松浦です)
I lead the product development team.
(開発チームの責任者しています)
As you know this year our new product became a big hit.
(皆様ご存知のように私たちの開発した新商品は大ヒットしました)
Today I'd like to share the secret behind the success with everyone.
(本日はその成功の裏の秘密を皆様にシェアしたいと思います)
(2)貢献する姿勢を示すこと
上の文で「成功の裏の秘密を皆様にシェアしたいと思います」とその会議に貢献する姿勢が大事だと松浦氏は言います。日本を代表して、「日本ではどのようなことが起きているのか」「日本で起きている先進的な事例はないか」など、他の参加者にとって有意義な情報がないだろうかと事前に用意しておくことが大事だと松浦氏は強調します。会議に貢献する人は、どのような会議であっても高く評価されます。
例えば、以下のような貢献する姿勢です。
Let me share an interesting trend from Japan.
(日本から興味深いトレンドを紹介させてください)
(3)参加者と交流すること
いろいろな国々から多様な国籍の人が集まるのがグローバル会議です。参加者全員と仲良くなることができなくても、一人ぐらい友人ができるとその後のつながりも生まれてくる可能性があります。「仕事が忙しい」ことを理由に懇親会やパーティに参加せずに部屋に籠って仕事をするほうが合理的に思えますが、あまり打算的になり過ぎずに、会議や休憩時間、パーティなどで隣に座った人と積極的にコミュニケーションを取ることを松浦氏は強くすすめています。
いかがでしたでしょうか。
自分をブランディングするという松浦氏の話を紹介しました。みなさんは、外国人からどのような名前と呼ばれていますか?名刺の英語表記やメールアドレスまで統一して自分の英語での名前のブランディングを徹底し、自分を覚えてもらいやすくする工夫をするところまでメルマガ筆者は考えていませんでしたので「はっ」とさせられました。新年から新しい方々と交流する機会の増える方は特に、改めて見直してみるのもよいかもしれません。
◆ソース◆
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『マーケティング英語の教科書』(宣伝会議)
https://www.amazon.co.jp/dp/4883354091/