メルマガバックナンバーのコラムは、大前研一が自らが執筆・発行しているものではなく、

本講座の専属ライターにてお届けさせていただいております。

■━━━━━━━━━━━━━━━□
┃≪2万5000人以上が購読中!≫
┃最新の英語学習法&PEGL[ペグル]情報をお届け!
┃―――――――――――――――
┃週刊メールマガジン
┃「グローバルリーダーへの道」
┃2019/02/14 配信号
□━━━━━━━━━━━━━━━■

今号のメルマガは、米国人の若い部下を持った時、全人格的な指導を
して良いものなのか?それともビジネスのスキルだけを指導するべき
なのかという話です。書籍『言い返さない日本人』(IBCパブリッシング)
から紹介します。

同書では、著者の山久瀬洋二氏が実際に企業をコンサルティングして
きた時に遭遇した事例ベースで記述されていますので、本メルマガも
その事例の一つをとりあげて紹介することにします。

以下のような順番で説明します。
【事例の概要】→【米国人部下の不満】→【日本人上司の反論】→
【山久瀬氏による分析】


◆テーマ
「個人のプライバシーの領域にどうして日本人の上司は首を突っ込んで
くるのか?」

【事例の概要】
日本人の上司は時々、訳の分からない注意をしてくる。私の仕事とは
直接関係のない、全くどうでも良いようなことで。そして、上司の
考え方を押し付けてくる。

【米国人部下の不満】
ある日、私の上司にあたる日本人が「君、整理整頓は仕事の基本。
きちんと机を片付けなさい」と注意してきた。

私の仕事の質と机の整理整頓とどんなつながりがあるというのだろうか。
私の机のことは私が決める。そんなことまでとやかく言われる筋合いはない。

上司は私の仕事の出来不出来にはあまりはっきりとした評価をして
くれない。むしろ、仕事の出来不出来とは全く関係のないそのような
個人のプライバシーの領域に絡んでくるので理不尽さを感じる。

正直なところ、こうした上司の対応にはうんざりする。やる気が失せるし、
これからも上司の下でやっていけるか不安である。

【日本人上司の反論】
我々の仕事はち密な気配りと、精密なケアがあってはじめて成り立つ。
だから、自分の机を整理整頓できない人に、どうしてしっかりとした
仕事ができるというのだろうか。

部下はまだ若い。上司が若い部下に対してそうした注意をするのは
当然のことでしょう。むしろ、若い部下に育ってもらいたいからこそ、
そのように注意したわけだから、そのようにひねくれて解釈されて
しまうと正直な気持ち、失望してしまう。「机を整理整頓しろ」と
いうのは上司からしたら“親心”なのだから、分かって欲しい。

【山久瀬氏による分析】
じっくりと時間をかけて若い部下を育てていこうとするスタンスを持つ
日本人と、ビジネスのスキルに限定したコミュニケーションを求める
米国人の意識面での対立が最も顕著に現れたケースです。

山久瀬氏が「知っておいて欲しい」と力説するのが、注意する内容の
取捨選択です。上記のような事例の場合、もし整理整頓ができて
いないがために仕事に支障があるのであれば、それを仕事の内容で
注意します。机の整理整頓の問題はあくまでも個人のプライバシーの
問題と位置づけます。そのうえで、例えば、上司自らの経験談のような
形で両者には因果関係がある旨を話すのであれば、問題はないかも
しれません。それなしに、部下に机の整理整頓を命令しても逆効果です。

米国人は自らの技能や仕事上の結果のみを基準として上司から評価を
求めます。仕事と直接関係ないような机の整理整頓の話をされても
米国人にはピンと来ないばかりか、「個人のプライバシーの領域に
ずかずかと入ってこられた」ことに対する憤りすら覚えるかもしれない
と言います。

部下の指導の仕方には日本と米国では大きな違いがあると山久瀬氏は
言います。日本では上司があたかも親のように若い部下の面倒を
見ようとするメンタリティがあります。人と人とが長い時間をかけて
知り合い、信頼関係の中で徒弟制度のような発想で部下を育てます。
米国では業務そのものに集中して、その技能の向上のみに焦点をあてて
部下を指導するのだと山久瀬氏は言います。

もうひとつ、隠された文化上の違いがあると同書の山久瀬氏は指摘
します。それは仕事において結果を重視する欧米の文化と、結果も
さることながら、プロセスにこだわる日本人との発想点の違いです。

米国人は「仕事の結果が良ければ、その手順や背景にある心の準備
などは、個々人が判断してやれば良い」と考えます。それに対して
日本人はともすれば結果に至る心構えや仕事上の手順にこだわるのです。

この違いは上司が部下に対して仕事の指導をするときに顕著に現れ
ます。シリコンバレーなどでは、高度な技術を駆使する仕事をして
いても、机の上は乱雑で、かつ方法論も独創的な人材は山ほどいます。
そうした独創性こそが、より良い仕事に繋がるという意識すらあります。

いかがでしたでしょうか。
メルマガ筆者は以前に古い体質の企業に在籍していたこともあり、
“全人格的な指導”を上司から受けてきた世代です。最近は、日本人
同士でも“全人格的な指導”は減って、米国流にビジネススキルの
指導に徹することが増えているかもしれませんが、みなさんの周り
ではいかがでしょうか。

みなさんは、部下として、日本的に全人格的な指導受けてきましたか。
それとも米国的にビジネスのスキルだけ指導を受けてきましたか。

また、上司として部下を教育する時、日本的に全人格的な指導をする
タイプですか?それとも米国的にビジネスのスキルだけを指導する
タイプですか?グローバルでチームを率いる環境にみなさんが置かれる
際には、「部下を指導する内容の取捨選択」に特に注意が必要かも
しれません。


◆ソース◆
================================
『言い返さない日本人』(IBCパブリッシング)
https://www.amazon.co.jp/dp/4794600275
pp.150-155
================================