shutterstock_334043390

今号のメルマガは、英語で発言することの重要性についてです。書籍『「二刀流英語」のすすめ』(論創社)から紹介します。著者は作家で、大学教授や「国際ペンクラブ」という国際的な文筆家組織の副会長をつとめた堀武昭氏です。

会議などではなるべく目立たないように行動し、できれば発言を
避けるのが日本社会の常道でした。しかしながら、発言する、
すなわち情報を発信し続けることが国際社会では絶対に欠かせない条件になると堀氏は言います。

◆第三者がいくら「優れている」「人格者だ」と言っても、沈黙は最悪の結果をもたらす

耳の痛くなるようなエピソードを堀氏は切り出します。

日本では温厚、人柄の良さで知られる学者が海外では一顧だにされなかった例を堀氏は同書の中で紹介しているのですが、副首相(どこの国の「副首相」なのかの記述は同書ではありませんでした)が主催した戦略会議で何もしゃべらなかったことが、その学者が「能力や実力がない」と誤解された原因でした。

いかに「優れた学者だ」「人格者だ」と第三者が後から副首相に説明しても、あまり効き目はありませんでした。本人同士が直接会い、しかも一日たっぷり議論を交わすことができたのにも関わらず、本人が発言しなかったわけですから、副首相に強い印象を与えることはできませんでした。要するに存在感がなかったということです。第三者がいくら「有能」だと説明したとしても、本人が自ら発言しない限り、海外では自分の所在はもちろん、評価を得ることはできないというわけです。

逆に、まったく内容のないことでも、発言をし続けた友人は国際的に名の通った大学の教授に就任している例を知っていると堀氏は言います。

発言する際に問題となるのは英語力ですが、ネイティブの英語を真似る必要はありません。日本式の英語で何ら問題はないと堀氏は言います。

◆トランプ氏の中学生レベルの語学力のスピーチでも米国大統領になれる

かつての教え子、あるいは同窓の仲間(便宜的に本メルマガでは以降「彼ら」と呼びます)に会うと、決まって話題になることがあると言います。それは、以下のようなコメントです。「あれほど悩まされていた英語が最近よく理解できるようになったのはなぜだろう。トランプ米大統領のスピーチを聞いていても実によく理解できるのだ。昔、巻き舌でしゃべる米語はまったくフォローできなかったのになあ」。堀氏は、待っていましたとばかりに持論を展開、解説するのだと言います。その持論というのは以下のような内容です。

我々は、英語に関しては米国人に対して自信を持てるようになりました。いや、対等に議論できる立ち位置に到達しました。

そう堀氏が切り出すと、たいていの場合、彼らは怪訝な顔をします。堀氏はさらに次のような追い打ちをかけて持論を展開します。

どういうことかと言うと、ニュース番組などで見る、トランプ大統領がしゃべる英語を思い浮かべてください。トランプ大統領の語学力はせいぜい中学生程度です。これは堀氏の個人的な意見ではなく、米国の識者がトランプ大統領のスピーチを詳しく分析した結果です。すべてを「ディール」とか言って街の不動産取引と同じ感覚でしか判断しないし、さらには米大統領選でトランプ氏に投票した米国民の大半が貧困層の白人だと、堀氏は持論を展開しています。

そういう米国民がトランプ大統領の中学生レベルのスピーチに熱狂するのだから恐れ入ってしまいます。ということは、我々日本人は大いなる自信を持って、日本式の英語で堂々と発信できる証明にも
なるわけです。だから、米国人に対して堂々と、憶することなく、英語で持論を訴えることができる時代が来たというのが堀氏の意見です。そしてそのことを認識して、実行しなければならないと堀氏は
言います。

頭では理解しているのですが、人の心は弱いもので、心のどこかで「自分は他の人より教養、知識がある」などと思い込み、それをひけらかす気持ちになります。あるいは他人の前では絶対に間違いを犯したくないという完全主義に陥りがちになります。しかし、ここは「恥かき英語」に自信を持つことが重要だと堀氏は言います。そのためには、自分の心の中に潜む垣根を取り払うことを堀氏はアドバイスします。(なお、教養や知識が悪いと堀氏が言っているのではなく、間違いなく英語上達の有効な武器になるのだけれど、それ以前に、教養や知識がある分、心の葛藤、障害から抜け出すのが難しくなるのだということです)

いかがでしたでしょうか。
能力や実力があっても会議では余計なことを発言しないタイプ、内容がないことはわかっていても会議でとにかく発言して存在感をアピールするタイプ、みなさんはどちらのタイプですか?

グローバルで外国人とビジネスを行う場合、後者のスキルを磨くことが避けて通れないとするならば、それは、英語力を磨くこととは違った努力のベクトルにあるのかもしれません。PEGL[ペグル]の受講生の方でも、特に上級レベルの方になると、英語とは違った「度胸」や「アピール力」「踏み込む力」の重要性に気付き、相談を受けることが圧倒的に多くなっています。社会での立場が上になるほどに、こういったスキルは海外で必要になってくるようですね。


◆ソース◆
================================
『「二刀流英語」のすすめ』(論創社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4846017133
pp.42、49、235‐237
================================