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今号のメルマガは、相手のよいところを口にして出して表現することの重要性についてです。書籍『国連で学んだ 価値感の違いを超える仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から紹介します。著者は2006年から国連世界食糧計画に勤務する田島麻衣子氏です。

自分が密かに「長所」と思っているところや、自分が大切にしているものを、見つけてくれてさり気なくほめてくれる相手に対して悪意を持つ人間はいません。私たち日本人は「その場の空気」を上手に読むことを尊ぶ社会に暮らしているので、「わざわざ口に出さなくても、みんな分かってくれるだろう」とついつい相手がこちらの意図を以心伝心で感じ取ってくれることに期待して甘えてしまいがちです。しかしながら、実際には、口に出して表現しなければ相手に伝わらないことのほうが多いのです。

「ほめる」という行為は、目上の立場にある人間が、目下の人間に対して行うことが日本の文化であり、これはこれで素晴らしい日本の文化なわけですが、「人間関係を滑らかにする」という力を持って
いるので、使う相手を限定してしまうのはもったいないと田島氏は力説します。

田島氏によると、赴任した経験のあるイタリアでは1日がほめ言葉から始まるそうです。イタリア人の朗らかな精神から私たち日本人が学ぶことは多いのだと田島氏は言います。

(1)日常の些細な出来事を
(2)気がついたらすぐその場で
(3)お、いいね!
――とさらりと、でも、「実際に」口に出して伝えることがポイントになります。

「言わなくてもわかるばず」という価値観はイタリア人には存在しません。元々、分かり合えない人間同士だからこそ、積極的に口に出して伝えようというのがイタリア人のスタンスです。

・部下に対する「あのレポート、なかなかよく書けていたね」と言う言葉。
・同僚に対する「お、今日も元気そうだね」というあいさつ。
・上司に対する「昨日のチェック、ありがとうございました」のお礼。
・知人に対する「そのかばん、とても使い勝手がよさそうですね」のひと言。
・妻に対する「今日も、きれいだね」という勇気のひと言(恥ずかし
がってはいけません)。
・夫に対する「いつもありがとう」という感謝のひと言。

こんな言葉を日常的に聞ける環境に身を置いていたら、さぞかし心地良いでしょう。「言わなくてもわかるからいいだろう」といった淡い期待はないものと考えなければなりません。相手のよいところや感謝していることを口に出して伝えることで、相手の表情が「ぱっ」と明るくなったら成功です。

いかがでしたでしょうか。
人間は、自分がより多く触れたものや、より多く会話を交わした人に、愛着を覚えるようにできていると言います。みなさんは相手をほめるという“人間関係の潤滑油”を惜しみなく使っていますか?

◆ソース◆
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『国連で学んだ 価値感の違いを超える仕事術』
(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
https://www.amazon.co.jp/dp/479932019X/
pp.104-117
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【記事提供元】実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-
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