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今号のコラムは、「場」に合わせて英語を使い分けるという話です。書籍『世界で成功する英語速聴力』(秀和システム)から紹介します。

著者の小熊弥生氏は日本企業で社内通訳としての勤務を経て、フリーの同時通訳者として活動しています。小熊氏が社内通訳として勤務していた時、「意図が伝わればよし」とされていたので、カジュアルな英語でも固い英語でもそんなに気にする必要はなかったですが、フリーの同時通訳者として各国首脳や大臣などの要職の同時通訳の仕事を手掛けるようになって感じたのが、「『場』に合わせて英語を使い分けることの重要性」なのだと言います。

同書では以下のような3つの「場」に合わせた使い分けを解説しています。

(1)口語的な表現にする場合、基本的な動詞であるmake,have,get,do,takeを使った表現を使います。

(2)(1)よりももう少し会話で動きが出るような表現にする場合、イディオムを使います。

(3)かしこまった表現にする場合、スペリングが長ったらしくて、小難しい単語を使います。英語ではこのような小難しい単語をbig wordsと呼びます。

◆(1)口語的な表現から、(3)かしこまった表現までの英語の具体例

(1)口語的な表現から、(3)かしこまった表現までの具体的な英語を以下で見てみましょう。

「弊社が計画を立てる」
(1) We will make a plan.
弊社が計画を立てます。
(2) We will put together a plan.
弊社が一つの計画にまとめあげます。
(3) We will formulate a plan.
弊社が計画を策定します。

「会議をする」
(1) We will have a meeting tomorrow.
明日は会議をしましょう。
(2) We will sit down for a meeting tomorrow.
明日は膝をつき合わせて会議をしましょう。
(3) We will hold a meeting tomorrow.
明日は私たちが会議を主催します。

「その製品は弊社が入手する」
(1) We will get the product.
その製品はうちが入手します。
(2) We will come by the product.
その製品はうちが手に入れます。
(3) We will procure the product.
その製品はうちが調達します。

「試験をする」
(1) We will do the testing.
我々が試験をします。
(2) We will carry out the testing.
我々が試験を行います。
(3) We will execute the testing.
我々が試験を実行します。

いかがでしたでしょうか。
formulateやprocureやexecuteは、日常英会話にはなかなか使う機会の少ない英語ですが、受験英語では頻出単語として、どういう「場」で使うのかという使い分けもわからないまま、とにかく暗記した
記憶がありませんでしょうか。英語の世界では、big wordsとして、小難しい英語と認識され、かしこまった場で使うときの単語なのですね。

米国のトランプ大統領の発する英語にはbig wordsがあまり出てこないので、国家元首という立場にしては、(1)や(2)の口語的な英語を発しているのだなと改めて思わせられます。みなさんは(1)~(3)のような表現方法の違いを、「場」を意識して使い分けていますか?


◆ソース◆
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『世界で成功する英語速聴力』(秀和システム)
https://www.amazon.co.jp/dp/4798056189
pp.230-232
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