shutterstock_334043390

今号のコラムは、「Stay hungry. Stay foolish」(スティーブ・ジョブズ氏がスタンフォード大学の卒業式でスピーチしたときの有名なメッセージ)の意味についてです。書籍『異文化ギャップ きれいごとではすまされない? ビジネスシーンでみるコミュニケーションと行動の在り方 ―日・英語編―』(第一法規)から紹介します。

同書の著者は総合物流会社鈴与の取締役で、米国に駐在経験のある平野広幸氏です。平野氏によると、米国の社会には「Stay hungry. Stay foolish」的なメッセージが躊躇なく受け入れられる土壌があるのだそうです。平野氏の解釈によると、「獲物を捕獲すべく常にお腹を空かせておきなさい。自分がやりたいことを知るために常に貪欲でいなさい。そしてそのためには突発な発想や行動があっていいのです。」というようなことを示唆した、米国人の琴線にビンビンと触れるメッセージなのだと言います。

日本人にとっては、米国人が獲物を求めてさまよう気質にはなかなか馴染めませんが、米国人のこの鉄面皮と生き残るためのバイタリティをうらやましいと感じることがままあると平野氏は述べています。

米国のビジネスでは「結果がすべて」です。人事考課は結果によってのみ行われます。ですから、この「結果」を得るためには、時として、事実を歪曲してまで自分の成果を優先させてしまう場合も決して珍しくないそうで、そういった場面に平野氏は実際に遭遇しています。その中でも以下のような“事件”を同書の中では紹介しています。

「鈴与のシカゴ支店に対して不満を持っている」という有力顧客Y社が、「鈴与から競合のE社に乗り換えようとしている」と都合の良いように解釈し、これを絶好のチャンスととらえたデトロイト支店のトム(仮名)が、その仕事をシカゴ支店からデトロイト支店でのハンドリングへと横取りし、自分の実績にしてしまおうと画策します。

こういう事件は、「米国では決して珍しくはない」と平野氏は述べています。なぜならば、米国人にとっては「結果」がすべてだからです。そして自分を優位な立場に誘導できるチャンスがあれば、何でも利用するのだと言います。さらに、米国人の多くは常に一発勝負を狙い、結果さえ出ればあとは、リラックス、そして次の獲物を狙うとも述べています。

いかがでしたでしょうか。
メルマガ筆者はジョブズ氏の「Stay hungry. Stay foolish」というメッセージを他人には見せることのない内に秘めた「ハングリー精神」としてイメージしていたのですが、 「野心がプンプンにおう」イメージなのだと同書を読んで受け止め方が変わりました。トランプ米大統領が大統領再選に向けて自身を「史上最も有能な米大統領」と自画自賛する演説姿は日本人的な感覚では厚かましさを感じてしまいますが、「Stay hungry.Stay foolish」を体現化しているのだなと納得しました。みなさんは、ジョブズ氏の名言をこれまでどう解釈していましたか?


◆ソース◆
=====================================
『異文化ギャップ きれいごとではすまされない?
ビジネスシーンでみるコミュニケーションと行動の在り方
―日・英語編―』(第一法規)
https://www.amazon.co.jp/dp/4474057619
pp.171-176
=====================================


【記事提供元】実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-
8db277b8-e9bf-4e62-9a9d-7ae9a78d0136