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今号のコラムは、国際情勢では予期できない事態が起こり得るという話です。世の中の雰囲気に流されない情報分析力がビジネスパーソンには必要ですが、新聞記者にも予期できない事態が起こり得るという話を、書籍『グローバルキャリアのすすめ』(関西大学出版会)から紹介します。

同書から紹介する章の著者は小池洋次氏で、小池氏は日本経済新聞社に記者として入社後、シンガポール支局長、ワシントン支局長、国際部長、日経ヨーロッパ社長などを歴任し、世界中を取材して歩いています(現在は関西学院大学教授)。小池氏は、世界中の専門家を取材して回った経験から、専門家の予想が立て続けに外れる時期があり、その時期は予期できないことが起きる可能性があると指摘しています。今現在がちょうどそのような時期なのではないかとメルマガ筆者が感じたので、上記のトピックを取り上げました。

小池氏は、構造変化、何か質的に変化が起きているときには、過去の経験則は通用しないと述べています。言い換えるならば、専門家の予測が当たらないときは、大きな変化が起きていると考えたほうがよいと言います。小池氏が挙げる一例が、1980年代から90年代にかけての欧州情勢です。欧州では下記の(1)(2)のような画期的なことが起きています。

(1)1989年ベルリンの壁崩壊
ベルリンの壁の崩壊は、多くの専門家にとっては予想外のことでした。ベルリンの壁が崩れる少し前、当時の西ドイツの著名なジャーナリストが「ベルリンの壁が崩れるとしても20世紀はないだろう。東西ドイツの統一は21世紀の中頃の問題だ」と語ったと言います。ところが、ベルリンの壁はその直後の1989年秋に崩壊、1990年にドイツが統一されました。情報技術の進歩に伴って東側の人々が西側世界に関する多くの情報を得るようになり、共産主義体制が情報を統制しようとしても限界があったのが、ベルリンの壁が崩壊した原因だと言います。

(2)1990年ソ連共産党の一党支配の終わり、1991年に旧ソ連が崩壊
小池氏がシベリア鉄道に乗っているとき、子どもたちが、時の権力者を揶揄するざれ歌を大っぴらに口にしているのを聞いて、驚いたと言います。それまでのソ連では、人々への管理、統制が厳しく、権力者への公然たる批判は許されませんでした。草の根では大きな変化が起きていたのです。

いかがでしたでしょうか。
アメリカ合衆国大統領が北朝鮮の金正恩氏と首脳会談を何度も開催したり、南北軍事境界線を越えてアメリカ合衆国大統領が北朝鮮側に足を踏み入れるなど、専門家が予測できなかった大きな変化が起きています。

予測不可能な出来事が次々と起きている現在も、世界情勢が大きく変わる前兆なのかもしれません。みなさんのビジネス相手国が当事国になるかもしれませんし、みなさんが歴史的瞬間に遭遇するかもしれません。草の根で起きている大きな動きを見逃してはいないでしょうか。草の根で大きな動きが起きているとすれば、この先、世界情勢がどのように大きく変化すると予想しますか?


◆ソース◆
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『グローバルキャリアのすすめ』(関西大学出版会)
https://www.amazon.co.jp/dp/4862832539
pp.170-179
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【記事提供元】実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-
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