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今号のコラムは、相手(米国人)から責め立てられても、結論がブレてはだめで、毅然として対応しなければならないという話です。書籍『異文化理解の問題地図』(技術評論社)から紹介します。

以下は、半年に一度の勤務評定フィードバック面接のシーンの中での上司と部下の1:1のやりとりです。課長のAさんが、米国人の部下のスミスさんに今期の評価を伝えます。

A課長:「スミスさん、あなたの今期の評価はBでした」
スミス:「えっ、なぜですか!私はちゃんと個人目標を達成しましたよね。なぜA評価ではないのですか!?」
A課長:「チームへの貢献が少なかったので、その分が減点となりました(中略)」
スミス:「『チームへの貢献』って何ですか?具体的に何をすればチームに貢献したことになるのですか?」
A課長:「ええと、たとえばほかのメンバーが困っていたら助けてあげるとか…。あとは、(中略)
スミス:「そんなこと職務記述書に書いてありましたか?(中略)そんな理由で評価を下げられるなんて納得できません!」
A課長:「(あたふたした様子で)まあそう言われると、確かにどこにも書いていないのだけれど…、(中略)そうすると、『チームへの貢献』も評価の対象になってくるんだよ」
スミス:「そう言ったことは前もっていってもらわないと分かりません。とにかくこの評価は受け入れられませんので、もう一度、検討し直してください!!」
A課長:「そんなこと言われても…。もう評定会議で決まっちゃったんだよ。どうしよう、困ったなあ…」

A課長、完全に押されっぱなしです。日本人の部下であれば、何とか納得してもらえるかもしれませんが、外国人の部下の場合、自分の主張が理解されるまではなかなか引き下がってもらえないかもしれません。

上のやりとりの中で、A課長は、最後にとんでもないNG対応をしてしまっています。それは、結論がブレ出していることです。同書では「どうしよう、困ったなあ…」などと口が裂けても言ってはいけないと述べています。相手につけいるスキを与えているからです。最後までブレずに、毅然とした態度を貫く必要があります。「こちらがしつこく主張すれば、折れる相手」と見られてしまうからです。

ここでもし、「では例外的に…」などと対応してしまったら最悪です。外国人人材は、ロジックが破綻しているとみるや、責め立ててくると言います。一度でもブレのある運用をしてしまうと、その矛盾を突いて、毎回のように手心を加えるように求めてくるはずだと同書では述べています。ある意味、上司と部下の立場が逆転してしまう可能性すらあると言います。「例外をつくるのは、最悪の対応」と心得なければなりません。

いかがでしたでしょうか。
みなさんが、A課長でしたら、どのように説得してスミスさんの評定がBであることを受け入れさせますか。

◆ソース◆
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『異文化理解の問題地図』(技術評論社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4297104156
pp.48-50、68-69
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【記事提供元】実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-
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