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今号のコラムは、リーダーは通訳を介さずに英語で意見を述べるべきという話です。書籍『グローバル・マインド 超一流の思考原理』(ダイヤモンド社)から紹介します。著者はマッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、SAPジャパン代表取締役やルイ・ヴィトン・ジャパン・カンパニーCEOなどを歴任した藤井清孝氏です。

◆英語で発信できないリーダーは素通りされる

藤井氏によると、日本では表面的には英語の重要性は認識されていますが、本音のところでのトップ層の認識は「所詮、言葉は道具に過ぎない。問題は中身だ」という、当たり前すぎる従来の言い訳を盾にしていると言います。外国のニュース番組を見ていても、英語でトップ層をインタビューできない国は日本ぐらいになってきました。

そのために、通訳がいるではないかという反論が聞こえてきそうですが、通訳を通じてでは、意味は理解できても、実感をつかめません。言葉が共通でないと、「五感」を使って、相手の人間を判断できないからです。恋の告白は通訳を介してできません。国同士の外交でも、ビジネスでも、最終的には人間同士の信頼が大きなカギを握りるということです。

藤井氏は面と向かって相手の目を見て自分の五感を使って判断しないと、相手の人間を信頼できないと言います。そしてそのときに言葉が共通でないと、相手の目を見ても真意がわからないので信頼関係を構築しづらくなります。よく日本の政治家は「通訳を入れたほうが考える時間ができるので、なまじ英語ができるよりメリットがある」と言うことがありますが、「時代遅れ過ぎて情けない言い訳」と藤井氏は斬り捨てます。いざというとき、電話一本で相手と直接話せないような関係を構築できないのなら、外交交渉など誰がやっても同じだからです。相手はこちらの地位に対して対話をしているだけで、深い人間関係が背後にないからです。

英語で発信できないリーダーの国は、世界から無視されます。日本に「黙っていても注目される立場」はもういないのです。

◆英語力が弱い人材は、組織の要職には就かせない

藤井氏によると、日本人の英語力がいつまでたっても向上しない原因は簡単です。英語ができないと本当に困る場面が生活の要所に存在しないからです。英語ができないとまともな就職ができないとか、企業の管理職の候補にもなり得ない、という“実害”が日本には少ないのです。これを解決するには、“実害”を人工的に作るしかないと藤井氏は言います。

やっかいなことに、旧世代では、いまだに「英語力と仕事は別」「語学屋は要職には就けない」とする考えには根強いものがあります。これを改善するには、トップレベルで「英語力は必須」というコンセンサスを作り、トップダウンでその緊急性を示す必要があります。そのためには、英語が弱い人材は、今後は組織の要職には就けないことをルール化し、それを徹底すべきだと言います。同時に、実際に英語が自由に操れるリーダーたちの層をもと厚くし、次世代の人材にとって具体的にお手本になる人を増やしていかなければなりません。

いかがでしたでしょうか。
新型コロナウイルスの影響で2020年の東京オリンピック・パラリンピックの中止にIOC(国際オリンピック委員会)の委員が言及するなどの報道があります。これに対して、日本のトップは英語で態度をはっきりとは世界に対して表明していません。みなさんは日本のリーダーの英語による情報発信力をどう考えますか?

◆ソース◆
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『グローバル・マインド 超一流の思考原理』(ダイヤモンド社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478007659
pp.232‐235
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【記事提供元】実践ビジネス英語講座-PEGL[ペグル]-
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